今日は僕の苦い思い出を一つ。
テキトウな大学生の友人の口車に乗った結果、大失敗した話をします。
大学卒業間際、初めての「物件使いませんか?」
このブログでは何度も書いておりますように、僕は大学四年生の頃、新卒で就職せずにテキトウ自営業者として生きていくことに決めました。
で、先行き不透明な僕としては、もちろん色んな仕事をもらおうと頑張る訳です。
などと、一生懸命アピールする訳です。
その結果としてですね、ほうぼうから色んな話がやってきます。
はい。来ました。物件使いませんか?系の話。
謎の自営業をやっている人なら枚挙に暇がない類の提案です。僕のところにも1ヶ月に一件くらい来ます。
先日も一件コカしたばかりです。こういうのよくあります。
さて、今ではまあ慣れっこな提案なんですが、当時の僕はこういう話をもらうのに慣れていません。
と、すっかり舞い上がって参ります。
話を持ってきたのは、大学生の友人
当時の僕は、就職しないでテキトウに生きようとしている人のネットワークを広げておりました。
今回の物件の話を持ってきたのは、そんなネットワークの中の一人、大学生ながら民泊を転がすことに夢中になっていた室賀くん(実名)。
当時(2016年頭)はAirbnbバブルが絶好調で、お小遣い稼ぎがてら大学生が民泊に手を出すケースが多かったのですが、室賀くんはそういうレベルでなく、関西に1棟と3部屋、関東に2棟とかそういうレベルでやってました。完全な民泊事業者でした。大学にはもちろん行っていないし、何なら卒業する気もサラサラない、そういう類の男でした。
彼から持ち込まれた話、要約すると
- 物件は、「京王線某駅徒歩13分、5LDK一戸建て、庭・駐車場付き、防音性よし」
- 賃料は「初期費用なし・13万円」でOK
- ただし、元の家主が帰ってくる「2017年3月」までの期限付きレンタル
- どう?良くない?借りない?
ということでした。
民泊物件として借り上げたものの場所がイマイチで収益化できず、仕方なく自分たちで住んでいるということでした。
また、彼はこう付け足します。
僕はこの話、めっちゃ美味しいじゃんと思いました。
ということで、後日すぐにこの室賀くんに物件を案内してもらいました。物件は、問題ないどころかとても良く、見れば見るほど「イケるやんこれ」という思いが強くなってきました。
で、話を前に進めます。
細かい条件調整や引き渡し時期を決め、契約日程も決めました。
さあ、僕はもう舞い上がりっぱなしです。
何でしょうね。あの新規事業立ち上げの異常な興奮。事業を始めたことがある人ならきっと分かると思うのですが、あの瞬間のアドレナリンどばどばタイムは得も言われぬ気持ちよさがあります。
あの興奮が好きだから僕らは起業家をやっているのかもしれません。
まして、僕は当時初めてのアドレナリンどばどばタイムです。不安4割、期待6割で、ものすごくたくさんの準備をしました。
- 事業計画書を狂ったように見直していました。
- 当時お世話になっていたシェアハウスの会社の経営者にもビジネスモデルについて相談しました
- そして、その会社の提携シェアハウスとして様々な宣伝をしてもらうようにお願いし、快諾してもらいました
- ランディングページも用意しました。
で、ものすごいたくさん準備した後に、いよいよ契約となったのですが…ここで事件が起こります。ああ、よくある展開。
全然話が違う
いよいよ契約をにらみ、家主、僕、室賀くんを含めて話すことになりました。
- 普段はシェアハウス。住み着く人達が5名ほど
- そしてしょっちゅうイベントスペースになる。土日は常に。平日もしょっちゅういろんなイベントをやる
- 騒音でご近所に迷惑かけないようにはしますが、色んな人が出入りします!
ということを考えてます!問題ないでしょうか?
ということでですね、非常に悲しい現実なのですが、前述の
- 事業計画書を狂ったように見直していました。
- 当時お世話になっていたシェアハウスの会社の経営者にもビジネスモデルについて相談しました
- そして、その会社の提携シェアハウスとして様々な宣伝をしてもらうようにお願いし、快諾してもらいました
- ランディングページも用意しました。
という準備は、全てムダになりました。
と、めちゃくちゃ落ち込みました。
そして、
アドレナリンが出てワクワクする準備作業と裏腹に、広げちゃった風呂敷をたたむ作業というのはとにかく足取りが重くなります。
人に謝るという行為はしんどく、僕も人並みに嫌いなのですが、かといって避け続けてもいられない。仕方なく話が決まったその日に謝りにいきました。
彼には結構な調整の手間を使わせてしまっていましたから、筋を通すためにも、今後いい関係を保つためにも、しっかり説明をしなければなりません。
という、神対応によって救われました。
僕は彼のこの対応を見て、「あっこの人めっちゃカッコいい!僕もこういうノリの人を目指そう!」と思いました。
そして、彼の指摘は非常に正しくてですね、「今回の件は勉強になった」はまさにその通りです。
学び:「契約書ファースト」で動こう
この一連のエピソードは、いくつかの反省と教訓をはらんでいます。以下、その教訓を並べてみます。
- 友人の言うことを真に受けてはいけない。彼/彼女の発言は大体テキトウだ。
- 仕事の準備をする前に、契約書を交わさなければいけない。この順番は逆ではいけない
- 全てを書面にしよう。口で言うことには問題がたくさんある。冗談が入り、不確定な情報を気楽に発信してしまい、後から遡れない。
文字にしてみれば当たり前のことです。
しかし、どこにでもいる大学生で、社会経験のない僕は、こんな当たり前のことすらしっかり認識できていませんでした。
そして、似たような話は巷にあふれています。
社会において、人と人との口頭でのコミュニケーションというのは、すれ違って当然の曖昧性をはらんでいるものであり、訂正の連発であり、争いの火種です。
それに比べて、契約書は凄い。
ちゃんと書面として残り、お互いが厳密にチェックをした上でサインをする。曖昧性を残さないように作られ、片方の勝手な都合でコロコロ変更されたりしない。
これが、絶大な威力を発揮するのです。
利害関係を調整したことのない大学生にはピンと来ないかもしれませんが、利害関係が絡むと、人はとんでもない背信行為を平気でし、しかもそれをこちらのせいにしたりします。
また、そこまでいかないにせよ、言うことはコロコロ変わり、進めたものを無責任に放置し、バックレたりします。
これら全てにストップをかけるのが、契約書です。
とんでもない背信行為を全て禁じ、言っていることを固定させ、無責任な放棄をできないようにすることができます。
などという進め方は愚策中の愚策です。書面にしましょう。それがお互いのためです。相手にしても、あなたの認識と自分の認識が食い違っているのを修正するチャンスです。
「契約書を書けなんて、俺のことを信用できないのか!」と怒り出す人は、98%は詐欺師です。残り2%は上記の内容を理解していないアホです。
僕と同じ失敗をしないように、皆様はまず契約書を交わすことを覚えてください。
家を借りた相手が統合失調症で、昨日と今日で言ってることが全く違うみたいなことが起こるのが社会です。そういう時、こちらの戦う武器は書面しかありません。
余談ですが、僕は今年の6月に一度、訴訟を起こされました。人生初の訴訟でした。
内容としてはありふれたもので、僕が宿泊業を営んでいる物件に管理人を雇ったら、その管理人が勝手に他のヤツに物件の一部を賃貸借で貸して、家賃を自分のポケットに入れていた、という内容です。
この時の僕を救ったのも、契約書でした。雇った管理人との業務委託契約書には、はっきり「業務の再委託禁止」「第三者の介入の禁止」等が含まれていたので、法廷でもすごくあっさり話が進みました。
まとめ:人と人はすれ違う。書面で止めよう
コミュニケーションの問題というのは、一生つきまとってきます。
相手の言うことがコロっと変わった時「ちくしょう!あのバカのせいで俺の人生は!」と悪態をつく人になるのか、粛々と書面を武器に法廷に立つ人になるのか、あなた次第です。
人と人はすれ違う。書面で止めましょう。
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