こんにちは。一応経営者のはしくれ、堀元です。
会社をやっていると、日々色んなことが起こり、とても勉強になります。
で、そんな毎日の中で、最近よく思い出すのが、マンガ「ナニワ金融道」の内容です。
昔のマンガではありますが、とにかく内容が普遍的で、ビジネスをやる上での示唆に飛んだ素晴らしいマンガです。
特に僕が大好きなのが、作中に登場する地上げ屋「肉欲棒太郎」というキャラクターです。
25歳にして20億動かす男
主人公、灰原の会社「帝国金融」に、5000万の融資を申し込んできた肉欲。
彼は時流に恵まれ、創業5年、弱冠25歳にして20億を動かした経験があります。
そんな彼のビジネスに関する哲学は、ハンパじゃなく徹底していてカッコいいです。
今日はそんな彼に学ぶ、ビジネスの極意を書いてみます。
極意①メンツが大事な仕事だから、ハッタリをかます
肉欲は資金繰りが苦しいにも関わらず、見栄を張って豪遊します。
僕はこういうのめちゃくちゃカッコ悪いと思っております。意味もなく高級車なんて乗るな。
しかし、こと肉欲棒太郎に関しては、カッコいいのです。
クラブで豪遊するのは、地上げ屋という彼の仕事のために非常に効果的に機能するブランディングです。
地上げ屋という家業は、不動産をまとめて扱い、豪快に稼いで、周りに還元するというイメージ付けが必要だから、彼は計算の上でやっているのです。
見栄は見栄でも、職務上必要な見栄です。
後述しますが、彼は後に地上げ屋を廃業してもっと地道なビジネスを始めます。
その際のスタンスは、これ。
あんなもんバブルの時の夢やがな
早いこと忘れんとあかん
そやけど今度は違うぞ 地道な商売や
そやからこそ掘っ建て小屋から始めるんや
何と、一切の虚飾を取り払って、ガスも水道もない、月5000円の掘っ立て小屋をオフィス兼住居にします。
この判断の鋭さが超カッコいい。
必要であればいくらでも使って見栄を張るし、必要なければ掘っ立て小屋に住む。
徹頭徹尾、必要性を見つめる。そんなスタンスにしびれます。
極意②合言葉は「誠心誠意」
地上げ屋というとアコギなイメージがありますが、肉欲は「誠心誠意」という言葉を好んで使います。
ワシはいつでも一人でやるんや
腕が良ければ誠心誠意 一人でやるのがいちばんなんや
彼は、とにかく「誠心誠意」にこだわります。
それは、地上げ屋の現役時代も、廃業した後も同じ。
確かに、作中では一貫して、肉欲は常にストレートです。
目的遂行のために色々な工夫はするものの、誰かに協力して欲しいときは常に直球。
灰原に再びお金を借りに行くシーンでもそれがはっきり表れています。
この肉欲の様子に、周りの人もつい力を貸してしまいます。
そして、彼は実際に期待を裏切らない。やむを得ず失敗して裏切ることはあっても、自分から本気で頼み込んだことに関しては、100%の努力をしています。
誠心誠意、結局それが、あらゆるビジネスで一番使える武器なのでしょう。
極意③ いつでも冷静に、現実を受け入れる
地上げ屋、肉欲棒太郎の破滅はあっさり訪れます。
風俗産業のテナントをたっぷり入れるピンクビルを作ったはずが、何と風俗営業できないことが発覚。
初期費用を払っている店子たちが一斉に怒っておしかけます。
最初こそ少々動揺するものの、事態を飲み込んだ後の肉欲の対応は実に見事。
そうか……誰かが嫌がらせしよったんやなー
よしわかった。病院ができてしもたら風俗はできへんわ
話はわかりました。保証金と前家賃お返しします
この切り替えの速さが見事です。
特筆するべきは、このテナントの保証金をアテにして資金繰りをしていた肉欲は、保証金を返金したら破産不可避であるということです。
地獄のような事実なのに、少しも取り乱さずに、すぐに現実を受け入れる。これが肉欲の器の大きさを示しています。
だからこそ、被害を最小限にする施策が打てるのです。
続いての極意は、その施策について。
極意④ ふてぶてしく、しかし親身に
凄い剣幕で歩み寄られると、普通うっかり動揺したり下手に出たりするものですが、肉欲は一切そういうところがない。
ふてぶてしく、毅然とした態度を取り続けます。
しかし、話を聞かないムードではない。一貫して親身に対応するという雰囲気は出し続ける。
冷静に現実を受け入れているからこそできる、最善の対応です。かっけえ!
極意⑤ 破滅のときも、悲壮感は出さない
機を見るに敏な肉欲は、テナントの保証金を返金してすぐに、夜逃げを決意します。
しかしまあこの夜逃げも、悲壮感なしなのが肉欲の素晴らしいところ。
灰原はん ワシもここまでや
あんたとこに切った手形とばすけどカンニンしてや
灰原と肉欲は、金融屋と地上げ屋という立場は違えど、ある種の共鳴と尊敬がありました。
だから、二人の間に余計な言葉は必要ありません。
金を借りていて返せなくなったから申し訳なさそうにするなどという庶民感覚は肉欲にはありません。
プロの金融屋の灰原は当然こういうケースも想定済みで、回収の手はずを持って金を貸している
ということを、よく分かっているからです。
灰原をプロとして尊敬する故に、つまらない謝罪をしたりしません。
極意⑥ 仕事仲間に、敬意を払う
それでも、肉欲は最後まで灰原のことを思ってアドバイスをしてから逃げていきます。
一度、共に尊敬しあって仕事をしたからには、最後までその人に敬意を払う。
これは、変にペコペコしたり言い訳するよりも、ずっと高度で美しい振る舞いでしょう。
いろいろとお世話になったなー
ほんならこれで行くわ
社長
お気をつけて
お元気で……
余談ですが、僕はこの「灰原が肉欲を見守るシーン」が、ナニワ金融道の中で最も素晴らしいシーンだと思っています。
今回、本筋から離れるので言及しませんが、実はこの肉欲の破産は、裏で灰原が手を引いているのです。
自社、帝国金融の利益のために、肉欲を破産させる絵を描いたのは他ならぬ灰原でした。
プロとして、二人は仕事仲間でもあると同時に、利益を追求するためにお互いを利用しあう関係でもあったのです。だから灰原も、全力で肉欲を破産させにかかりました。
しかし、灰原自身も肉欲を尊敬しているし、二人には確かに友情がある。
プロとして相手を潰すが、たしかに尊敬はしている。
そんな肉欲を見守る灰原の心情が、「お元気で……」の「……」に込められています。
ああ本当に美しいシーンだ!こういうのがあるからマンガを読むのはやめられない!
極意⑦ チャンスは虎視眈々と
地上げ屋を廃業して夜逃げした肉欲棒太郎は、神戸で競馬のノミ屋をやり始めます。
しかし、肉欲の目は死んでいません。虎視眈々とチャンスは狙っています。
夜逃げしようが、ノミ屋になろうが、彼は常に気を張っています。もう一度表舞台に立つために。
だから、チャンスを逃さない。
毎日目を光らせているから、チャンスを見逃しません。
こうして、ビジネスチャンスを掴んでいくのです。
極意⑧ 心配しても解決しないから、心配しない
ビジネスチャンスを見つけた肉欲は、広島で飛行機のチケット販売事業を興すことを決めます。
しかしここで問題になったのは、神戸のノミ屋から足を洗うハードルでした。
競馬のノミ屋ということになれば、当然ヤクザが絡んでいます。
そこから無傷で抜けられるのか?部下の川井は不安で仕方ありません。
しかし、当の本人は揺るがない。心配していても仕方ないからです。
心配しても解決しない問題については、心配しない。
素晴らしいスタンスです。経営者は心配事が多すぎますから、こういうスタンスじゃないととてもやっていけない。
極意⑨ 譲れないものは絶対に譲らない。
そして、ノミ屋を辞めさせて欲しいと相談してみると、案の定…
小指を詰めろと言われます。
しかし、それだけは承諾できない肉欲。当然です。小指がない状態で、なぜまともなビジネスができるでしょうか。
そこは当然譲らない。譲歩として、それ以外は何でもやると宣言します。
すると、靴を舐めることになります。
当然、肉欲は皆の靴を舐めていくのですが、徐々に要求はエスカレートし、ついに…
犬の糞がついた靴を舐めろと言われます。
これには覚悟を固めていた肉欲も面食らいます。
しかし、すぐに精神を建て直し…
見事に実行してみせます。
肉欲のあまりの覚悟に、海千山千のヤクザも黙り込んでしまう。漫画家・青木雄二の筆が冴え渡る素晴らしいシーンです。
この気迫に気圧された組長はもちろん、もう指を詰めろなどとは言いません。そればかりか、
餞別にお金をくれるという大盤振る舞い。
これもひとえに、「絶対に小指を詰められるのだけは譲れない」という肉欲の気迫によるものです。
絶対に譲れない何かは、死んでも譲らない。例え犬の糞を舐めることになったとしても、譲らない。
経営者としてのそんな信念が爆発し、報われるシーンです。痺れる!
まとめ
以上、ビジネスの極意を学びつつ、ナニワ金融道の面白さをふんだんに紹介したステマ記事でした。
これ、ホントに素晴らしいマンガだから皆読んだら良いと思うんですよね。
今回は深く触れてませんが、実は肉欲を破産させたのは灰原だった全貌とか、指を詰めずに済んだ肉欲が起こした事業の全貌とか、是非マンガを読んでみて欲しい。
僕は肉欲にビジネスを学んだので、とりあえず夜逃げの時も悲壮感は出さないことにします。
僕にお金を貸している各位、カンニンしてや!
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