はじめに
この記事はメディアミックスで作られています。
同じ内容について話した動画も用意しました。読むよりも聞く方が好きな方はこちらをどうぞ。
ーーーここから本題ーーー
こんにちは。非日常クリエイターの堀元です。
さて、僕は去年からずっと”遊び作り”を仕事にしているので、「面白い遊びとは何なのか」をいつも考察しています。
娯楽業界において「自分が物語に関わる」は非常に重要な要素になっている。
AKB48が売れた理由は、「自分が応援したアイドルがのし上がっていく喜び」であり、クラウドファンディングでお金を集める理由は「自分が立ち上げに関わったものを応援したくなる」習性による。#未来の娯楽について考察
— 堀元 見@あそびカタのプロ (@kenhori2) October 23, 2017
さて、そんな中で、非常に興味深い問いが自分の中に湧いてきました。
モンスターハンター成功の要因は何だったのか?
今日はそれについて書いてみます。
モンスターハンターは”しんどい”
僕は個人的にはモンスターハンターはかなり革命的なゲームだったと考えています。
なぜなら、しんどいから。
まず、面白くなるまでが長い。
- 採集クエストをやって…
- ザコ(ランポス)を10匹狩るクエストをやって…
- ザコの大きいの(ドスランポス)を狩るクエストをやって…
- それなりの敵(イャンクック)を狩るクエストをやる
ゲームとして面白くなるのは、このイャンクックを狩る段階くらいになってからです。
そこまではひたすらゲームの遊び方を覚えるフェイズで、あまり面白くはない。
モンスターハンターは、このあまり面白くないフェイズが他のゲームに比べて長いように思います。
それもそのはず、モンスターハンターは、ある程度のプレイヤースキルがないと強敵とは戦えないからです。RPGのように、ステータスを調整して…という訳にはいきません。
プレイヤーの上達を待つために、面白くないフェイズが長くなるのは必然。
面白くないフェイズを乗り越えるための”ティガレックス”
しかし、ユーザーがそれでも耐えるのは、ティガレックスを最初に見せられているからです。
というこの感覚こそが、プレイヤーのモチベーションにつながっています。
この辺、モンスターハンターは一貫しておりまして、オープニングでティガレックスを見せ、最初の方のいくつかのクエストでも、ティガレックスにばったり出会ってしまうようになっています。
当然、プレイヤーはヤバそうだなと思って逃げる(もしくはダメ元で挑んで大ダメージを受ける)ワケですが、ティガレックスを執拗に見せておくことで、
という闘争心が沸くようになっているわけです。
遊び作りをするものは、この例を真似しなければなりません。
説明時に”最初のティガレックス”すなわち”遊びの到達点の象徴”が必要なのです。
あなたの遊びに”最初のティガレックス”はあるか?
習熟に時間がかかる遊びを設計する時に、この”最初のティガレックス”を入れ忘れると、厳しいことになります。
すぐに面白くなるようにする or ”最初のティガレックス”を用意する
のどちらかは必須です。
ボードゲームを作る人とか、なんか遊びイベントやる人は覚えておくべきです。
ルール説明が長くて人を消耗させそうな時は、先にちょっとティガレックスを見せましょう。
上手な”最初のティガレックス”の例
最後に、この”最初のティガレックス”が上手な例をいくつかご紹介
サーフィン
これめっちゃ分かりやすいと思うんですけど、サーフィンって最初は全然面白くないんですよね。
ですが、人々は「超かっこよく波に乗る人(最初のティガレックス)」を見ているから、地味で面白くない長期間の練習に耐えられるワケです。
逆に言うと、人類で最初にサーフィンを練習したヤツ、マジ狂気ですね。何を励みにして練習したんだろう。不可解すぎる。
ビリヤード
これもすごい。
ビリヤード、ちゃんとできるようになろうとすると、むちゃくちゃ地味な鍛錬が必要なんですが、その先にアレが待っている訳ですよね。
スゴ技ね。ビリヤードは、遊びとしては極めて地味な練習を要するにも関わらず、実戦の中でスゴ技を出せるという非常に面白い構造になっています。
これも、超かっこいいプレイに向けて頑張れる例ですよね。
以上、探してみればいっぱいあると思いますが、”地味な練習”を要する遊びは、必ず”最初のティガレックス”を必要とします。
遊びを設計する皆様は、これを設計し忘れないように心がけて参りましょう!