あけましておめでとうございます。新年早々、脱出ゲームに没頭して3時間を浪費するという愚を犯した堀元です。
さて、去る大晦日、僕たちは巨大かまくらを作りました。そこにはちょっとしたドラマがあったので、レポートを書いてみようと思います。
①道具の輸送
派手なかまくら作りの影には、地味な作業が隠れているものです。まずやらなければならないことは、必要な道具の準備です。
準備した道具の一部。手作り感満載のフリップ(段ボール)も。
今回は僕の実家(札幌)から徒歩15分の中島公園が舞台なので、ここからさらに輸送が必要です。
開始時刻のはるか前に、輸送を引き受けてくれた親切な友人たちとともにシャベルなどの器具を運びます。素手で。
車を用意しなかった理由は、雪道での運転に自信がなかったのと、そのほうが青春ぽいからです
死者の行進にも似た悲壮感。
元気いっぱいの堀元は「良いねえ!ウォーターボーイズにもこういうシーンあったよね!」と思っている。
そんなことを思っていると、川の強風にあおられて、僕が持っているフリップが飛ばされてしまいました。
どうにかこうにか車道から回収してきたのですが、いきなり企画が頓挫するかと思いました。ウォーターボーイズのこととか考えているからバチがあたったのかもしれません。
②中島公園駅(集合地点)で皆を待つ
一人で待つのはとても寂しい。
「ママー、巨大かまくらだってー」
「シッ!黙っておきなさい!」
という親子の会話を聞いて、帰ろうかと思いました。
③中心点を決定
とりあえず7名ほど集まったので作業開始。
行き当たりばったりで山を作ると中心が分からなくなる恐れがあったので、目印を刺しました。画像中央の緑の棒を中心に山をつくっていきます。
ちなみにこの日はたいへん良い天気で、作り始めの皆の士気の高さは驚くべきものがありました。
④山を作る
とりあえず雪をかき集めて山にしていきます。ざくざくと順調に雪をぶん投げます。
みんな凄いペースで雪を集めるので、あっという間に1メートル以上の高さになりました。
15分くらいでここまで来たので、これ1時間くらいで完成するんじゃね?という予想が生まれます。
そしてこのドヤ顔である。
「おいおい、こんなに人手いらなかったんじゃねーの!?」と次々に楽勝発言をする面々。
このあとに地獄が待ち受けているとも知らずに…
⑤踏み固める
かまくらになるためにはある程度の硬さが必要ですから、雪を踏み固めます。
ぐるぐる回りながら雪を踏み固め、時にはシャベルを叩きつけて硬くします。
最初こそ楽しかったのですが、この作業は大変地味です。かまくらの高さが変わらない(むしろ低くなる)ので、成果を確認できない。
そしてモチベーションが下がると、体力の消耗に気がつくというわけです。
踏み固める作業を始めてから30分…
完全にやる気がなくなる
暖まろうと思って取り出したカイロもしけっていて温まらず、全てに裏切られた形になりました。
僕以外のメンバーもやる気の減退が著しく、そのうちの二人にいったん買出しに行ってもらいました。
⑥休憩
買出し班が戻ってきたので、いったん飲み物を飲みながら休憩することに。
冷たい緑茶と冷たいアクエリアス
どうして冷たいものしかないんでしょう。
バカなのかもしれません。
上がらない士気…
温まらないカイロ…
冷たい飲み物…
地獄のようですね!
⑦休憩からの復帰
冷たい飲み物を飲んでいると、体が冷たくなってくるので、運動して体を温めるしかなくなります。
もはやヤケクソに近いですが、再び気合の作業開始です。
動きのキレのなさが写真からうかがえる。
手前の彼は道具も持たずに何をしているのだろう。
⑧新メンバーの合流
暗くなり始めて、ますます士気が下がる中、途中参加のメンバーたちが3名ほどやってきました。「友達の友達」や「ネットの募集に乗ってくださった方」など。
面識のない方に来ていただけるのはとてもありがたいです。
「あなたもかまくらがお好きなんですね!かまくら最高ですよね!」ぐらいのノリで話しかけたら引かれましたけど。グイグイいっちゃってすみませんでした!
この頃は、いい加減踏み固めるのに飽きたので、どんどん高さを稼ぎ始めています。
「高くしていけば雪の自重で硬くなるに違いない!」という希望的観測を元に進めました。
希望さえあればどんな所にでも たどりつけると決心している
(ジョジョの奇妙な冒険 ジョルノのセリフより抜粋)
完全な希望的観測から出た作戦でしたが、これが功を奏しました。
みるみる高くなっていくかまくら、上がる歓声。
もはや上に乗るのがちょっと怖いくらいの高さになってきました。
日が落ちて公園の街灯が灯り始めてきましたが、同時に我々の心の火も灯り始めました。
⑨ラストスパート&水をかける
最後にもう少し高さを稼いだところで、完全に真っ暗になってしまったので山作りは終了にしました。
そしてかまくらを固めるために水を汲んでかけるという作業に移行。
「かまくらの表面を流れていくだけじゃない?」
「水の量が少なすぎて全然意味ない気がする」
「200リットルくらいないと意味ないぞ」
という声が聞こえてきました。
かまくらは水をかけて固めないといけない、とグーグル先生が言っていたのでそうしようと思っていたのですが、皆の意見ももっともな気がします。
迷った末に、多数決を取ることにしました。満場一致で「水をかけるのは終わろう」ということでした。
そして何より、かけてる僕自身がもう水をかけたくないので、適当に切り上げました。掘っても多分崩れないだろう、という根拠のない自信で入り口を掘り始めることにします。
⑩山を掘る
場所を決定したら、あとは掘り進むだけ。もう完成は近いぞ!
空いた入り口に突入する。入り口は狭いまま、中の空間を掘り広げる。
ここで、かまくら作りのコツを言っておきます。明るい懐中電灯が必須です。
かまくらの内部は外からの光が届かないので、とても暗いです。真っ暗な密閉空間で雪を掘っていると、孤独感が凄いです。地球に俺しかいないんじゃないかと本気で思い始めますよ。
何が言いたいかっていうと、ちゃんと懐中電灯を用意していた僕を褒めてくださいっていうことです。
かまくら内部にて、上を掘って、高さを獲得する作業。
かまくらの中って驚くほど暖かいです。密閉性の凄い空間でした。あと、誰かが作業したあとに入ると、人の家に入ったときのにおいがしました。かまくらは家になりうるのかもしれません。
この拡張作業中に誤算だったのは、かまくらの外にいる人はやることがないということです。北海道の容赦のない寒さに耐えながらひたすら世間話をするという異常な空間に。
寒いわ暇だわでとりあえず写真を撮ってみた。
また、寒さの限界に達して離脱する人や、家に帰らなければいけない人が抜けていくので、この頃から徐々に人が減っていきました。辛すぎ!
そんな辛さをこらえて踏ん張っている頃に、公園を散歩中のご夫婦が見学に来てくれました。
旦那さんが僕と同じ慶應大学のOBであるということで、熱い応援と、温かい飲み物の差し入れをいただきました。昼から冷たい飲み物だけでやっていたので、これはたいへんありがたかったです。ありがとうございます!
⑪完成
8時間の戦いの末、とうとう完成。
すっかり日も落ちて、一時期は15人いたメンバーも最後には4人に。
これがその完成形です。
高さは2メートル前後、直径は8メートルほど。
入り口はものすごく小さいですが、中の空間は広々としています。
四人でちょっとしたパーティが開ける程度の大きさ
かまくら内では、いただいた飲み物とお菓子の残りでパーティをしました。その間の主な話題は、「かまくらが潰れて死ななくて良かったよね」ということ。
「ここで死んだら、葬式で爆笑されるね」
「『○○君はたいへん活発な青年で、雪遊びが好きでして…』っていう弔辞を読まれるな」
「それは笑う」「でもさ、今四人全員入っちゃったから今崩れると助ける人いないよね」
「あっ!!」
破壊&撤収
最初はかまくらの中で年越しパーティーをしようと思っていたのですが、寒すぎてもう帰りたかったので「夜から参加します!」と言ってくれた人がいなかったので、夜の部は中止にしました。
そして、かまくらを残しておくと危ないので、破壊作業を行いました。
(刑事責任を問われることだけには本当に敏感なメンバーたちでした)
破壊時の様子
かまくらは全然壊れず、もっと壁を薄くしても大丈夫だったことが判明。
僕らのかまくらは人が三人乗っても全然壊れませんでした。
イナバ物置みたいですね!
まとめ
- 懐中電灯は必須
- 水をかけるなら大量にないといけない
- 壁・天井の厚さは結構薄くできる
- カイロは温まらない
そして、こんな謎の企画に関わってくれた方々には感謝してもしきれません。
ありがとうございました!
来年の「巨大雪だるま作って年越し!」でもよろしくお願いします