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【サバの話だったの?】WEEKLY OCHIAIというコント、あるいは地獄について。

面白いもの

 

「面白いとは何か」ということをいつも考える。

 

その答えに近づくために、どうすればいいのだろうか。

答えに近づく一つのアプローチとして、「最高に面白いものをたくさん集める」というものが考えられる。

最高に面白いものをたくさん集めて、それらに共通する特徴を抜き出せば、「面白い」の本質が抽出される、という算段だ。

だから僕は、「最高に面白いものに出会ったな」と思った時は、必ずメモを取ることにしている。スマホの中の「最高に面白いもの」メモは既に200行を越えた。

 

前置きが長くなった。本題に移ろう。

この「最高に面白いもの」メモに、最近書き加えた一節がこれだ。

 

WEEKLY OCHIAI、デジタルネイチャーの話、コントみたい。誰も分からないのに分かったフリ。実はサバの話

 

謎のメモで申し訳ない。以下、説明しよう。

 

「WEEKLY OCHIAI」というのは、NewsPicks内で毎週配信されている落合陽一の番組だ。こういうヤツ。

画像引用元:https://www.uzabase.com/company/news/weekly-ochiai-and-makemoney-to-dtv-channel/

広告なんかで見たことがある人も多いのではないだろうか。

 

そして、この番組の、2018年6月13日放送「日本社会をアップデートせよ」回がめちゃくちゃ面白かったのだ。

 

なんと、僕は5分くらい笑い転げていた

経済ニュース番組を見てこんなに笑い転げるとは想像だにしなかった。

 

もちろん、この番組はマジメなニュースや議論を扱う番組で、制作スタッフも演者も誰一人として笑いを取ろうとはしていない。

にも関わらず、今年一番笑ってしまった映像作品である。

 

この映像の何が面白いのか、一言で言うなら「自然に発生したコントである」ということだ。

 

落合陽一はこの放送回の中で「誰も何もさっぱり分からない難しい話」を始める。

しかし、残念ながら誰一人「えっ?何言ってるんですか?」とは言えないのだ。

言えない理由は、NewsPicksの番組という特徴に起因する。

 

NewsPicksというメディアは、

  • 教養がある人たちが視聴するメディア
  • 低俗なバラエティとは一線を画している
  • 誰にでも分かるように番組を作ったりしない。ターゲットの知的レベルに合わせて作る
  • だから、専門用語の解説などいちいちしない

という思想の下で作られている。

 

当然、このWEELLY OCHIAIも、

  • 話者として登場するのは一流の知識人のみ
  • 見る人もかなり高いリテラシーを持っている
  • スタジオに観覧に来る一般人も高リテラシー層
  • 言うまでもなく、「芸人」みたいな存在は一切登場しない

という硬派な番組になる。

 

すると必然、落合陽一が暴走して意味不明な講釈をしていても誰も止められず、

「あー。はいはい。そういう考え方ね。うんうん」

と、なんにも分からないヤツ特有の「分かってる風返事」をし続けなければならないのだ。

 

これがホントウに面白い。ジャルジャルのコントを見ているかのような感覚になれる。

それが、演技でなく天然で見られるのだから、極上のエンターテイメントである。

 

以下、この極上のエンターテイメント、WEEKLY OCHIAI「日本社会をアップデートせよ」回について解説していきたい。

ちなみに、コントが始まるのは開始15分頃からである。読者諸賢にもぜひ見て欲しい。NewsPicks有料会員じゃないと見られないが、無料でお試し登録が可能だ。

面白い点を以下で解説するから、気に入ったらぜひ見てくれ。

 

このコントを支える立役者たち

落合陽一

写真引用:http://www.asahi.com/ad/start/articles/00118/

言わずと知れた現代の論客。WEEKLY OCHIAIの主役。すごい早口で難解なことをしゃべる、「分かってる風コント」の起点。

ニュースゼロのコメンテーターとして出るときは視聴者に対してちゃんと配慮している感じがするが、WEEKLY OCHIAIは自分のホームグラウンドなため、しばしば観客を置き去りにする。

 

宇野常寛

引用:https://mainichi.jp/articles/20161216/mog/00m/040/011000c

宇野常寛さん。この回のゲスト。最近色んなメディアで目にする人。

有名人っぽいし「すごそうなインテリ」感が強い。編集者らしい。あと他にも色々やってるらしい。でも結局何やってる人なのかイマイチ分からない。

2018年度何やってるのかイマイチ分からない人大賞ノミネートだと思う。

 

すごいのかすごくないのか僕はよく分からないけど、少なくとも「すごそうなインテリ」感を出すことに関して言えば一級品である。

この回でも、「ここで言う日本って、一周した後の日本なんですよね」などと、すごそうな感じで話に入ってくる場面が散見される。

「分かってないといけない」感をかもし出す大切なピースだ。

 

石山アンジュ

写真はビジネス・インサイダージャパンの記事(https://www.businessinsider.jp/post-102980 )より引用

出演者の紅一点。

「内閣官房シェアリングエコノミー伝道師」というすごそうな肩書きを持つ才女……なのだが、それゆえに「こいつ何言ってるんだ?」という顔はできない。

したがって、一生懸命「ええ」とか「そうですよねえ」とか相槌を打つのだが、後半で「え?これ皆分かってんの?」と動揺しながら左右を見渡す場面がある。

 

地味ながら、WEEKLY OCHIAIというコントを引き立てる大事な存在だ。

 

佐々木紀彦

引用:https://media.lifenet-seimei.co.jp/2014/09/01/23/

進行役。NewsPicks社員の人。このコント唯一のツッコミ役。「ちょっとそこから先は私も分かんないので、一旦別の話しましょうか!」などのツッコミができる。

ただし、落合陽一の独壇場タイムでは邪魔できないので、「分からない話を食い止めたい」という様子と「とりあえずわかったフリをしておこう」という様子の混在がとてもいい味を出している。

混乱しながらもなんとか進行しようとする必死の様子は圧巻で、見ている内にこの人に感情移入せざるをえなくなる。

 

NewsPicksファンの観客

そして、最も大切な役者が、後ろで聞いている一般の観客。

NewsPicksファンの皆様が見に来ているようなのだけど、さすがNewsPicksだけあって「オレの知的好奇心を満足させることができるかな?」みたいなインテリぶった人がたくさんいる。

 

この人の、「オレの知的好奇心を満足させてみろ!」感すごくない?

 

聞こえるじゃん。「オレの知的好奇心を満足させてみろ!」

 

この、時折映り込む観客の様子が「分かってる風コント」の骨子である。皆分かってないんだけど、退屈そうな様子を見せたらダメなので、分かってる感じを出す。

 

 

以下、こんな愉快な立役者が織りなすエンターテイメントを見ていこう。

 

冒頭から何言ってるか分からない落合陽一

ニュースのコーナーや挨拶が終わり、本題に入るのは再生時間15分ころからである。同時に、コントがここからスタートする。

テーマは「日本社会をアップデートせよ」。落合陽一が書いた本「デジタルネイチャー」と絡めてこのテーマを語っていこう、という趣旨である。

これに対し、進行役の佐々木さんが「まず、社会って、そもそもなんですか?」と聞く。

落合陽一の答えは、これだ。

 

「人間とは、手段であり目的ではない」ってよく言うんだよね。

社会のための手段が人間であって、人間は目的じゃないので……

ソサイエティっていうか、エコシステム……社会ってエコシステムだと思うんですよ。

エコシステム……を成立させるための人間なので。

だから、人間を重要視……重要視というか、人間を目的にした社会は破綻するんですよ。

で、人間が手段であるっていうところから考え直すと……つまり、人間の定義の問題から始まるっていうところかな……。

と、観客に理解させる気のない語りだし。何言ってるか既にあんまり分からない。「ところかな……」って、語尾だけは憂える乙女みたいな雰囲気を出すな。

 

そして、この話は3分ほど続き、こう着地する。

西洋国家に存在した……つまりキリスト教的西洋国家に存在した神の定義みたいなものが、天皇制でなくなってしまった以上、我々の社会には存在し得ない、っていうところを、おそらく日本社会は拝金や、成長する高度経済成長的エコシステムによって補ってきたんだけれども、その生産社会っていうか、マスメディア主義の日本社会っていうのが成り立たなくなってきたときに、どうやってアップデートし得るのかっていうのが議論になっている……ような気がする。

で、その……例えば今でもアメリカだったら、宣誓するじゃないですか。大統領が。あの機能は我々の社会にはついてないよね?その機能がついてないことによってエコシステムが不全になってるのは間違いなくて……それは……なんだろ……人間存在より上位存在を仮定することによって契約が可能になる、みたいなもの?でもそれが我々にとってはブロックチェーンでもいいし、スマートコントラクトでもいいわけですよ。で、そういうものを真面目に考えようぜって言って書いてる本だから……まあ、そんな感じ。

 

この人、何言ってるの?

口頭でこんなに長い一文をしゃべる人初めて見たよ。「西洋国家に存在した」〜「ような気がする」までまさかの一文だよ。212文字だよ。一文で原稿用紙半分埋まるよ。

時間でいうと、38秒かけて一文を喋ってるからね。ちなみに、卵を50ccの水と一緒に電子レンジに38秒かけると、美味しい温泉卵になるらしいよ。落合陽一が一文喋ってる間に温泉卵できるわ。

 

そして、質問は「日本社会ってなんですか?」なんだけど、最終的な回答が「真面目に考えようぜって言って書いてる本だから……まあ、そんな感じ」という衝撃の着地。

そんな着地なくない?お母さんに「おやつどこにあるの?」って聞いて「みんなに美味しく食べて欲しいぜって言って作ったおやつだから……まあ、そんな感じ」って答えられたら僕はキレるぞ。

一人で3分近くも喋っておいて、この「そんな着地なくない?」という回答をするわがままっぷり、これこそ落合陽一だ。

 

この落合陽一のわがままっぷりを尻目に、進行役の佐々木さんが一生懸命書いたホワイトボードがこちら。

よく分からないなりに、言ってることをどうにか書き留めたという感じがあふれるホワイトボードだ。

佐々木さん、エラい。ワケ分からないことをワケ分からないと言わず、とにかく進行役の役目を全うしようと頑張っている。

大変な仕事である。僕はこの佐々木さんの仕事は絶対やりたくない。

 

そして、佐々木さんはここで「早速濃い話になってきましたね〜(半笑い)」と発言するなど、「今日もう帰りたい」感を出してくる。

だが、コントはまだ始まったばかりだ。

 

万を持して登場する宇野常寛

落合陽一のマシンガントークに皆が置き去りにされている様子を見た宇野常寛が、ここで口を開く。

「まあ、僕の方で分かりやすく噛み砕くと……」

と。

 

そう、ヒーロー登場である。ありがたい。会場全体にもほっとした空気が流れる。意味不明な落合陽一のあの言葉を、分かりやすく噛み砕いてくれるんだ!!

お前を待ってたよ。落合陽一の地獄の温泉卵トークから、僕たちを解放してくれ!

そんな期待を受けながら、宇野常寛の語る内容がこちら。

 

この人間って、かぎかっこ付きの人間なんですよね(かぎかっこを書く)。

もっというと、個人とか市民とか言われるものですよね。理性的な判断力を持って、なにかこう、責任……私は私だっていうアイデンティティをしっかり持って、で、責任持って判断できる主体みたいなことですよ。

だから人間っていうのはそうやってある程度理性的で、合理的に判断して責任が取れるものなんだっていう……まあ、フィクションですよね。実際にはそんな立派な人間はそうそういないんだけど、人間とは一応そういうもんだっていうことに仮にしておくと、社会ってうまく回るよと。そうすると、民主主義とか例えば可能になるじゃないですか?

(落合陽一)だから宣誓しないと成立しないじゃないですか?

(佐々木)……うん……そうね……分かりやすい……。

だから、西洋の話をすると、まあ神様っていう完璧な存在がいて、人間ってのはそこに近づけないんだけど、とりあえずそれに目指して頑張る存在なんだから尊いんだみたいなことを定義するわけですよ、人間を。

ただそれは、日本っていうのはアブラハムの宗教の国じゃないので、まあ……その神様を想定できないわけですよね。なのに、だから一応天皇っていう方便を使ったんだけど、あんまりうまく行かなかったというのが戦前の日本ですよね、と。

(中略)

戦後中流幻想を、戦後の■☆△(何回聞いても聞き取れず)の中で最も高度になし得るっていうことを頑張ったっていうのが戦後日本だったんだけど、どうやらそれをやりすぎた結果、なんか社会全体がパーになってしまった、今ここ、みたいな感じだと思うんですよね。

(佐々木)なるほど……分かりやすい……

 

 

ヒーロー!!全然噛み砕いてくれてないよ!!

何言ってるのか分からないままだよ!!混乱が深まるばかりだよ!!!

進行役の佐々木さん、「分かりやすい……」ってちょいちょい言ってるけど、声小さいよ!

あと、石山アンジュは佐々木さんのタイミングにかぶせて「分かりやすい!」って言ってるけど、これ完全に分かりやすいと思ってない人の反応だよね。「あいつが分かりやすいって言ってるから私も言っとこ」みたいな発想が透けて見える。

 

そして佐々木さん、困って水飲んじゃってるからね。ほとんど喋ってないのに。

 

落合陽一が放り込んでくる「ドラえもん」

この宇野常寛の自称「噛み砕いた」説明の後に、一秒と間をおかずに、またすぐに落合陽一が喋り始める。

「そう。神とはドラえもんのことだったのである、っていうね」

 

「っていうね」じゃないよ。何それ。どういうこと?

これに対し、進行の佐々木さんと石山アンジュは「ああ〜」と、とりあえずテキトウに返事をする。この後に解説が訪れるのを期待してのことだろう。

だが、現実は非情である。この落合陽一の発言を受けた宇野常寛は、こう言う。

 

「いいねぇ、ドラえもんこそ戦後中流幻想のね、最大の神様だからね」

 

いや、話に乗るんかい。解説してくれよ。「いいねぇ」じゃねえよ

 

しかし、「解説してください」という言葉をはさむタイミングを失った佐々木さんと石山アンジュを尻目に、落合陽一はさらに話を進める。

 

最大の神様ですよ。人間は努力しなくてもテクノロジーが補完してくれるし、何を言っても四次元から出てくる。

四次元から出てくるってヤバくないですか!?(笑)

 

なんで笑ってるの?今なんか面白いこと言ったの?

 

話に全くついていけてないので、笑いどころも全く分からない。

しかし、前述の通り、この空間は「え?何が面白いの?」という顔をしてはいけない空間である。

したがって、観客は、こうなる

 

清々しいほどの、「何がおかしいんだか分からないけど笑っておこう」顔である。

 

見よ!!この苦笑いを!!

 

この苦笑いがやむと同時に、宇野常寛は続ける。

「野比のび太って、戦後日本そのものだからね」

 

これまた、意味不明な発言である。だがここで、進行役の佐々木さんが男気を見せる!

ドラえもんもね、今年、興行収入最高になりましたもんね

 

エラい!!話を変えた!!

意味不明な話が連綿と続くこの地獄の空間を切り替えようと、映画の興行収入の話に持っていきました。これこそ男気だと思う。エラいよ。

そして、佐々木さんは、その勢いのまま、落合陽一の新しい著書「デジタルネイチャー」の話を始める。

「落合さん、デジタルネイチャーとはなにか、5分で解説してくれませんか?」

 

ああよかった。佐々木さんホントいい仕事するね!

これで、この難解な話が続く空間が打ち切られる。落合陽一の新しい本の話が聞ける。

そんな視聴者の期待とともに、落合陽一の話が始まる。

 

カタルシス「サバの模様」

ホワイトボードを使って、図を描きながら語りだす落合陽一。

 

地球上に最初に生まれた計算機はなにかっていうと、DNAを持った生物ですと。

4進法ですすむ、デジタル計算機があって……で、これがまあベースのコードで。

で、その後、まあ……なんだろうな……非線形現象をあの……アレにした、神経系を持つ生物ってのが出てきますと。

 

 

何回も同じことを言うようだけど、この人何言ってるの?

「非線形現象をあの……アレにした」って何?「アレ」のところに何が入るの?

「アレ取って」「アレって何よ?(怒)」っていう夫婦のやり取りのイライラは熟年離婚の引き金になるらしいけど、落合陽一の奥さんは大丈夫かな。熟年離婚と言わずすぐ離婚しちゃわない?

 

そんな我々のツッコミが追いつかないうちに、すぐに落合陽一は続ける。

 

で、それが最初に書いてあって、デジタルネイチャーとは生物が生み出した量子化という叡智を、計算機テクノロジーによって再構築するということだよって。ここまでがその文章ですね。

ここまでの図解はそういう意味らしい。よくわからんけど。

 

更に、落合陽一の講義は続く。会場全体がもう完全に内容を理解するのを諦めている。

 

で、えっと、計算機テクノロジーによって再構築するってのは、この……統計的な誤り補正と、統計的な微分処理。あー、偏微分を自動化するようなアプローチを、計算機テクノロジーによって再構築すると。

つまり、えーと、生物的、生物的デジタル処理と、あとなんだっけ……あれだ、地球が生まれて何億年っていうじゃないですか。46億年かけて作った、イテレーション?

 

「イテレーション?」じゃねえよ。こっちに確認するな。今の話、あんたしか分からんぞ。

 

こんな調子で、観客は意味不明なので理解するのを完全に諦めるのだが、ここでカタルシスが訪れる。

落合陽一の次の一言が、衝撃なのだ。

 

イテレーションによって出てきた結果、例えば、サバの背中の模様ですけど……

 

なんと、この意味不明な話、サバの背中の模様の話だったのだ。

このカタルシス!意味不明な別世界の話かと思ってたら、身近なものの話だったということが明かされる。「あ、それサバの話だったの?」と、度肝を抜かれる。

このカタルシスこそが、一つのコントの大きな見せ場になっている。落合陽一の喋りは、何言ってるか分からない話をドバっと語った後に、急に身近なものの例えを出すという特徴をしばしば内包しているのだ。

その結果、「何の話かは分からないが、とりあえずサバの背中の模様が関係あることはわかった」というアンバランスな理解、得体の知れないカタルシスが生まれる。

「分かったふり」の雰囲気が面白いコントであるだけでなく、そんなカタルシスまで与えてくれる。WEEKLY OCHIAIは、なんてサービス精神あふれる番組なんだろう。

 

観客に起こる”変化”

サバのカタルシスを越えると、話はまたすぐに意味不明になる。

 

そのイテレーションを……計算機の場合は、このイテレーションってだって一秒間に……CPUだったら3ギガ回とか回せるわけじゃないですか。3ギガ回まわせて、生物だったらこれって、一年に一回とかですよね。

この処理を回すことで、こっちのコンピュータの世界のやつを……現存する自然を更新する程度に、生態系にミックスしてしまおうと。つまり、今、人間と自然というのがあって、二項対立で語られてた問題を……一つの、人間的に定義された超自然を作って、まず。

人間的に定義された超自然の中に人とか、生物とか、あとここに計算機とかを、入れてしまうっていうような、自然観の更新なんですよ。こいつのことをデジタルネイチャーと呼んでいると。

この、定義されたデジタルネイチャーっていうのは、世界中にIoTデバイスとか、この、サブタイトルにもある「汎神化した」っていうのはIoT、ユビキタスのことなんですけど、ユビキタスデバイスっていう外側の存在と、あとコンピュータの中でイテレーション回していく内側の存在っていうのが、ほぼ等価であるっていう思想に基づいているんですよ。

(以下略)

 

この意味不明な話をしているとき、観客の様子はこうだ。

この見事なほうけ顔。漢字一文字で表現するなら、間違いなく「無」である

この写真、ホントウに味わい深い。全ての観客が頭の上に「?」を浮かべている。一列目一番右のピンクの服を着た女性のしかめっつらも良いし、一列目真ん中のワイシャツの彼も今にも指をくわえはじめそうな様子だ。すごく良い。

そして、演者も良い。進行役である画面右の佐々木さんも「?」という顔をしているし、画面左の宇野常寛さんも半笑いだ。

コントとしてのWEEKLY OCHIAIの全てが、この1枚の写真に詰まっている。PCの壁紙にしたいくらい良い写真だ。永久保存版だと思う。

 

そして、ついに「その時」が訪れる。

 

 

見ちゃった。スマホ見ちゃった。

ずっと我慢してたのにな〜。惜しかったな〜。

いや、気持ちは分かるんだけどさ〜。何言ってるか分かんない話何十分も聞くのきついよね〜。

でも、選ばれしNewsPicksファンとして、頑張ってほしかったな〜。

 

リテラシーが高く、意識も高い、分かってるフリする気満々の選ばれし観客たちさえも飽きさせてしまう落合陽一の独壇場。

そんな独壇場を受けて、とうとうこの人も変化する。

 

宇野常寛の様子

この落合陽一の長い話が終わる直前の、宇野常寛の様子がこちら。

 

いや、お前は飽きるな!!

 

ドラえもんの話とか、あなただけノッてたじゃん!!もう飽きちゃったの?

頬杖をついて、関係ない方向を見て、完全に飽きてるじゃん!!もっといつもみたいにインテリぶってくれよ……!!すごそうな雰囲気出してくれよ……!!

最後まですごそうな宇野常寛であってくれよ……!!

 

ちなみに、石山アンジュはこの時「落合陽一先生のリアル講義が聞けるなんて感激です〜」と内容に一切触れない薄い感想を言っていた。演者も皆、限界を迎えている

そんな中でも、番組は進むしかない。

 

とうとう、進行ができなくなる

さて、宇野常寛すら飽きてきてしまったこの落合陽一の長い話を受けて、困るのは進行役の佐々木さんである。

話の内容が全く分からないから、司会進行は事実上完全に不可能になってしまった。

だが、佐々木さんは立派な社会人だ。己の職務をまっとうするべく、質問を絞り出す。

「この、なんというか……アップデート、これからの個人を考えるにあたって、デジタルネイチャーってどう繋がってくるんですかね?」

佐々木さんの必死さが伝わってくる必死の質問。なんとか議論を前に進ませたい、「日本をアップデート」という、今日のメインテーマに近づけたい、そんな思いが伝わる、しどろもどろの質問だ。

これに対する落合陽一の答えは、こうだ。

 

 

「苦笑」である。「こいつ全然分かってねえ〜(笑)」という顔をする。

これに対して怒らない佐々木さん、とてもエラいと思う。僕だったら落合陽一に向かって思い切りミドルキックを入れるだろう

 

そして、苦笑しながら落合陽一はこう語る。

え、だって、あの、社会と、エコシステムと……つまり、あそこで語っている言葉が全部成立しない世界の話を、し始めてる訳ですよ?

「今までの話分かってないの?(笑)」と言わんばかりにホワイトボードを指し示す落合陽一、そして、絶望的な気持ちでホワイトボードを見つめる佐々木さん

この光景こそ、地獄というにふさわしいんじゃないだろうか。

写真にタイトルをつけるなら、間違いなく「地獄」。

 

「もうやめて!!佐々木さんのライフはゼロよ!」と僕は思うのだが、佐々木さんはまだ頑張る。進行役としての役割を完遂すべく、まだ言葉を続けるのだ。

 

「ああ〜〜。そっかぁ……。次元が変わってくるんだ……」

 

小さい声。独り言。

探りさぐりの発言だ。場を壊さないであろう一言を必死に探したのだろう。直前の落合陽一の言葉を受けて、それらしい一言を絞り出す。

これはおかしくない発言だろ?もう佐々木さんを楽にしてやってくれ…!!話をいい感じにまとめてくれ…!

我々がすっかり佐々木さんに感情移入する中、落合陽一はこう答える。

 

うん、っていうよりは、言語による定義で成立しないものまでを内包できるってことだよ。

 

いや、もう許してやって!!!

佐々木さん、探りさぐり頑張ったじゃん!!!これ以上否定しないであげて!!

 

佐々木さんは、またこの答えに対して何らかの返事を考えなければいけないので、「ああ〜。そうか……」と、小さい声で独り言を言う。

 

佐々木さん頑張れ!!折れるな!!

 

そう思って佐々木さんの次の一言を待っていると、意外なことになる。

 

宇野常寛「だから、人間っていう方便を使わなくても、世界が回っていくようになるんだよ」

 

いや、お前は飽きてろや!!!

今佐々木さんが頑張ってるだろ!!次の一言考える前に更にかき回すのやめて!!!

さっきまで飽きてたのに、なんで復活したの!?

「世界が回っていくようになるんだよ」じゃねえよ。今この場が回ってねえんだよ。佐々木さんが回そうと頑張ってるんだから、どうにか流れに乗ってあげてくれよ。今この場は方便使ってやってくれよ……!!

 

そして、まだまだコントは続いていく…

コント自体はまだまだ続くが、この記事は既に1万文字をゆうに越している。コントの最大の見どころは紹介し終わったので、そろそろ筆を置こうと思う。

この続きについては、以下のリンクから、是非皆さん自身の目で見届けて欲しい。

WEEKLY OCHIAI「日本社会をアップデートせよ

開始15分頃からコントが始まる。観客や、演者のわずかな反応を見てくれ。今回とても紹介しきれなかった部分がたくさんあるから。見れば見るほど味わい深いから。

上記のリンクはNewsPicks有料会員じゃないと見られない。でも、無料お試しもできるのでぜひ見て欲しい。僕に広告収入は一円も入らないけど、ぜひ見て欲しい。面白いから。
本記事中のスクリーンショットおよびセリフの書き起こしは全てこちらの「日本社会をアップデートせよ」回から引用した

 

ちなみに、上の落合陽一の画像は「りんごの2メガの画像を送りつけてくれるような裁判所があったらワケ分かんなくないすか?」という質問をしているところである。たしかにワケ分かんないよ。その裁判所がじゃなくて、あなたの話ずっとワケ分かんないよ。

 

まとめ

 

  • WEEKLY OCHIAI「日本をアップデートせよ」は壮大なコント。あと地獄。
  • 誰も分からないのに「なんとなく分かったフリをする」と、異常な空気が出て笑う。
  • 佐々木さん、怒らずメゲずに話を進めててめっちゃエラい。
  • 落合陽一、「イテレーション」って言葉好きだな。何回言うの?
  • 観客は諦めてスマホをイジる。

 

 

補足

  • WEEKLY OCHIAIの他の回はあまりコントじゃない、割と意味の分かる話をしていて普通である。「日本をアップデートせよ」は特別な回だ。
  • この1万文字を越える文章、一円にもならないのに丸一日潰して書いてしまったので、面白かったら僕のTwitterをフォローするとか、投げ銭するとかして欲しい。今後もこういうの書くモチベーションになります。よろしくお願いします。
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関連イベント

2019年1月20日(日)に、「逆ビブリオバトル~つまらないものNo.1決定戦」っていうイベントやります。

詳細はこちらのツイートからどうぞ。

 

趣旨としては、「ひどすぎて逆に面白いもののひどさについて語る」ということである。今回のWEEKLY OCHIAIみたいな話を皆でして盛り上がろう、という内容になっている。

話者としての参加も、聞くだけの人としての参加も可能である。今回のWEEKLY OCHIAIの記事の内容を受けて「私も語りたい!」となった人は是非話者として、「聞きたい!」と思った人は是非観客として参加して欲しい。

 

Facebookイベントページはこれ→逆ビブリオバトル

参加フォームはこれ→逆ビブリオバトル参加フォーム

 

以上、長々とありがとうございました!

author
Ken Horimoto
堀元 見

仕事は「新しいあそびを作ること」。異常なイベントを企画したり異常なWEBサービスを作ったりしながら生計を立てています。

好きなものはトンカツとインターネット。あと人の悪口。(性格が)悪そうなヤツはだいたい友達。

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