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「性格悪い人限定飲み会」の民度が低すぎて司会がパニックになった話

新しい遊び

 

 

「うるせえ!!黙れ!!」

 

自分が仕切るイベントで、そんな風に演台から客に怒鳴りつけたのは、はじめての経験だった。

 

声はガラガラ、めまいがするほど疲れている。

まるで短距離走を走った後みたいな息切れをどうにか抑えながら、ヤジを飛ばす聴衆に向き合った。

 

「性格悪い人限定飲み会」

先日、「良いこと言ったら即退場!性格悪い人限定飲み会」という企画をやった。

企画についての詳しい説明はこちら。

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この記事から基本ルールだけを抜き出して、ここにも載せておく。

 

  1. いいこと言うの禁止です。ずっと何かに悪態をついていてください。間違っても「人を褒める」とか「お婆ちゃんの心温まるエピソードを喋る」とかはやめてください。
  2. 会場を審判が巡回しています。審判の耳にいい話が入ってきた場合には、イエローカードが出ます。
  3. イエローカードを2枚もらった場合にはレッドカードとなり退場となります。また、特に良質ないい話の場合には一発でレッドカードとなることもあります。ご注意ください。
  4. 退場を命じられた者は、審判に抗議したり悪態をついたりすることができます。また、特に悪質な抗議の場合は、レッドカードが取り消しとなります。ぜひ頑張って悪質な抗議をしてください
  5. また、いい感じの悪口が聞こえてきた場合には、審判からブラックサンダーが渡されます。
  6. 終了時に最も多くのブラックサンダーを所持していた人が飲み会のMBP(Most Bad Personality)となります。
  7. 授賞式では、MBPに選ばれた方に、たくさんの黒い食べ物が渡されます。たくさん食べてより一層腹黒さに磨きをかけてください!

 

こんな趣旨だった。企画屋としての仕事で、軽いノリで出した企画。

企画は無事に通り、実際にイベントを行ったのが、三日前の夜のことだ。

 

 

100名の申し込み、参加者は70名

会場のキャパは100名だった。参加フォームの申し込みはイベント一週間前の段階で100名に達していたから、後からの参加申し込みは一切お断りしていた。

そんな状況であったために、「いいか!ドタキャンするなよ!来たい人の参加断ってるからな!ドタキャンしたやつのことを当日はボロクソ言ってやるぞ!」という警告を前日にしておいた。

そんな僕の警告も虚しく、30名ほどがドタキャンしていた。

このドタキャン者、仮に最初から「参加する気などないのに定員をムダに埋めてやろう」という迷惑行為をするつもりだったとすると、ぶっちぎりで一番性格悪いのはドタキャン者だと思う。

 

なにはともあれ、70名ほどの参加者がガチャガチャと声を上げる中、僕が開始の挨拶をする時間になった。

マイクを持ち、スライドを1ページ進めて、「皆さんこんばんは!」と喋り始めた。ここまではいつもどおりだった。

 

止まらないヤジ

 

説明を始めて30秒もしないうちに、「あ、今日やべえな」と感じた。

 

はい、じゃあ本日の趣旨の確認なんですが……
引っ込め〜!!
僕は悪口というのはかなりのエンターテイメントであると思っていて……
話が長い!!
今日はそんなコミュニケーションツールとしての悪口を……
か・え・れ!か・え・れ!(一同帰れコール)

 

いやうるせえよお前ら!!!今日は性格悪い人飲み会であって、民度低い人飲み会じゃねえんだわ!!

 

と、開始1分で怒った。この「今日は民度低い飲み会じゃねえんだ!」という怒声を何度も何度も飛ばすことになるとは、この時の僕は知る由もなかった。

 

当日の目標「流血沙汰を避ける」

当日使用したスライド

 

当日の目標として「流血沙汰を避ける」というものを掲げた。

「なんでもディスっていいよ。思う存分悪態をつこう」というコンセプトではあったものの、さすがに目の前の人をボロクソ言い続けてケンカになるのは避けたかった。

いや、ビール瓶で殴られるヤツとかが出現したら最高にロックで僕としては面白いんだけど、スポンサーもついている手前それはよろしくない。

そんなワケで、「空気を読んでね!!大人だからさ!」と、全体に向けて説明しておいた。

 

プライベート参加のガリガリガリクソン氏

今回はなぜか芸人のガリガリガリクソン氏(@gg_galixon )がプライベートで参加してくれた。

ちなみに、彼は思い切り遅刻してきたのだが、

 

わりい!寿司食ってたら遅刻したわ!どうせこのイベントはしょうもないお菓子くらいしかないと思って寿司食ってたわ!

 

と、全然悪びれない感じだった。

悪口を言うと同時にマウントを取ってくるという高等技術

 

そしてこのガリガリガリクソン氏、冒頭からサスガの動きを連発した。

 

 

参加者の一人に「あなたはブスだしクソつまんないから帰った方がいいですよ〜」とにこやかに言ってのける。

 

悶絶する参加者。

 

僕はこれを見て、

流血沙汰にならないといいなあ…

 

と思っていた。

ガリガリガリクソン氏は飲酒運転で捕まって最近まで芸能活動を自粛していたと記憶しているが、今回またケンカで捕まったらもう芸能活動終わりだろうなあ、と思いながら彼の悪態を眺める。

 

すると、ガリガリガリクソンの暴虐を見かねた別の参加者が、ガリガリガリクソン氏に攻撃をしかけた。

あなた、芸人なのに全然面白いこと言わないですね!!何その安直な悪口??

 

それに対する、ガリガリガリクソン氏の反応はこう。

 

え?僕、プロなんですけど?こんなしょうもないイベント参加者に対してプロがおもろいこと言うとでも思ってるんですか??

 

あまりの憎たらしさに、審判はブラックサンダーをあげていた。ガリガリガリクソン氏と、攻撃をしかけた参加者が二人ともブラックサンダーをもらうという平和な結論だった。

 

 

また、結構多くの参加者が

飲酒運転でずっと塀の中にいろや!!

と、すごい勢いでガリガリガリクソン氏の飲酒運転事件についてイジっており、「デリカシーがないな」と思った。脛に傷を持つ人間はこのイベントで大変である。

 

デリカシーのない攻撃にさらされるガリガリガリクソン氏

 

 

 

みるみる渡されるブラックサンダー

本イベントでは得点チップ代わりにブラックサンダーを配布した。

「性格が悪い言動にはブラックサンダーが渡される」という運用である。

 

ブラックサンダーが渡された事例を見てみよう。

 

  • 【「うちのXLは、他社のLなんです」っていうアパレル店めっちゃムカつきますよね。お前が他社に合わせろよ。なんでこっちがお前のところのサイズ感の違いを考慮しないといけないんだ!】という怒りをあらわにする人。最終的に「アパレル店は全部クズ」って言ってた。
  • 食べ物の差し入れを全て【飲み込みにくいもの】に統一しており、「みんなの喉が詰まってしまえばいい」と発言した人
  • 【エアコンが強くて寒い】という、会場へのクレームをずっと言っている人
  • 「あの審判、汚い」というシンプルな悪口

 

あとは圧巻の事例として、「初対面の人をパシらせていた」というものもあった。

 

「おい、酒とつまみ買ってこいよ!」という声が出たときは、もう何でもありだな感がすごかった。

イベントに参加したら初対面の人にパシらされたという事例が他にあるだろうか。僕は聞いたことがない。

パシらせた人には称賛の声と共にブラックサンダーが渡されていた。

普段は忌避されるタイプの行動が称賛されるという異常な場所、トランプ「大富豪」の”革命”みたいだな、と思った。

 

鳴るホイッスル、出るイエローカード

良いことを言ってしまった人には、カードが出るルールだ。

 

カードが出たシーンは、こういうものがある。

  • すばやくホイッスルを吹いて動く審判を「良い仕事ぶりだ!」とホメてしまった
  • 「審判の方〜!この人良い悪口言ってますよ〜!」と、人の良い悪口を広めようとした
  • 「確かにそれはおっしゃる通りですね!!」と、人の主張を全力で肯定していた

どれも、普通に社会生活を行っていく上で身についてしまっている所作だ。本イベントではこういう当たり前の所作を封印しなければならない。

 

また、他にカードが出た例として、「うっかり飲み物をこぼした人にティッシュを持ってきてあげるという優しい行動」がある。

言動ではなく、行動に対してカードが出るという新しいパターンだった。

良かれと思って行動した参加者は「えっ!」と驚きを隠せない様子だったし、審判のあまりの厳しさに身を震わせていた。

 

そしてこの後、こぼした飲み物がそのまま放置されているのを目撃したりもした。

 

先ほど出たカードの影響なのか、あるいは単に民度が低いのか、今となってはもう神のみぞ知るという感じである。

 

 

一発レッドも出る

一発レッドも割と出た。

女性審判に対して「かわいいね」という声かけをした人は全員レッドカードを出されていた。

 

 

また、こちらの女性は、僕のブログを読んでくれているらしく、僕に向かって「村やめる記事読みました!!感動しました!!」と言ったせいでレッドカードをもらっていた。

目の前でレッドカードを出される人を見て、僕はなんとも言えない気持ちになっていた。

自分のことをホメてくれた人が、そのせいで退場させられる」というやるせない気持ちを皆さんは味わったことがあるだろうか。

おそらく、僕は世界で唯一この気持ちを知っている人間であると思う。

この気持ちの言語化は難しい。

あえて言語化するなら、愛しさと切なさと心強さとが混じっていたという感じだろうか。こんな複雑な感情を味わったことがあるのは、僕と篠原涼子くらいのものだろう。

 

「ホリケンはセックスが下手」

イベント中盤、「ホリケン(僕)はセックスが下手」と言い出す人が出現し、ブラックサンダーを獲得した。

ここから、「僕をイジり殺してブラックサンダーをもらう」という手法が確立されることとなった。

そしてなぜか、僕への悪口はホワイトボードに書くという定石も生まれた。おそらく、会場がガヤガヤしていて音声情報は聞き取りにくく、視覚情報のほうが審判に伝わりやすいという背景が関係している。

 

こちらの女性の写真も、とても良い写真だ。透明感がある。

だが、書いている内容はといえば……

 

ホリケンは童貞(顔が童貞顔なので)」である。そんなヒドい内容を書きながらこんなに透明感のある写真に写るな。

 

こちらの女性はひときわ口が悪く、

  • 絶対セックスは下手でしょ?
  • 気持ちいい?ってめっちゃ聞いてきてウザいタイプだよね?
  • ハメ撮りもしてくるタイプだろ。犯罪だからやめろ。
  • あと関係ないけど靴が汚い。農作業してきたの?
  • MacBookのステッカーの量が自意識を表していてキモい

などの暴言を僕に向かって吐き続けており、大量のブラックサンダーを獲得していた。僕は少し興奮していた

 

集計〜ブラックサンダーを食べるジジイ

得点集計の際にも一悶着あった。

「得点チップ代わりのブラックサンダーを配るので、食べないで持っておいてね!」という説明が事前にあったのにも関わらず、全部食べたという猛者が出現した。

ガリガリガリクソン氏は「ジジイ!得点を食うんじゃねえ!!」とヤジを飛ばし、僕は「お父さん、今日は頭が悪い人飲み会じゃねえんだわ。説明忘れないでくれや」と文句を言った。

今考えると、アレは【予想外の行動で進行を滞らせる】という高度な技術であったようにも思う。そうだとすると、彼にもやはり追加の得点をあげればよかったなという気もしてくる。

 

また、なぜか集計して授賞式をする間、参加者の一人がずっと邪魔な場所で寝転んでいた。

いやもう、とにかく邪魔だった。だからそれは単に民度が低いだけではないか。

 

ブラックサンダーを食うヤツ、寝転がってるヤツなど豊富なキャラクターの妨害を受けて、授賞式は予定の2倍以上の時間がかかった。

そして僕は最後まで「民度が低い!」という注意をし続けなければならなかった。

全力で叫びながら民度の低さを注意する僕

 

優勝者は「審判がチョロい」と指摘する性格の悪さ

優勝者の「からっぽ」さん。

2位の「14個」に圧倒的な差をつける「19個」で圧勝であった。

 

 

ブラックサンダーをもらったエピソードを聞いたら、

家に来た女性にミネラルウォーターを買って来いと言われてイラッとしたので、ミネラルウォーターを買ってきて、こっそり中身を捨てて、水道水に入れ替えて出した。気づかずに飲んでるのを見て陰でめっちゃ嘲笑してやった

みたいな話が出てきた。

規模が小さくインパクトには欠けるが、純粋に底意地が悪いという感じのエピソードである。

 

また、彼はこうも言っていた。

それにしても今日の審判はチョロい。一人の審判にブラックサンダーをもらったのと同じ話を、他の審判の前ですると、他の審判もくれる。使い回しが可能だ。チョロい。

 

言わなくていいことを言ってしまう感じも含めて底意地が悪い。

終始「民度が低い」と「性格が悪い」が混同されがちな本イベントであったが、最後は落ち着くところに落ち着いた感がある。

 

「ひどい……民度だったね」

終了後に残されたホワイトボードが、民度の低さを物語っていた。

 

この民度の低さのために、今回は本当に疲れた。

イベントの司会は度々やっているが、これほどに疲れる会は初めてだった。

 

左がイベント開始、右がイベント終了の際の僕の写真である。

わずか2時間で、3歳くらい余計に歳を重ねた感じがある。

 

 

 

最後に、集合写真を撮った。

集合写真を撮る時は、みんな一応ちゃんと写真に写ろうとするのだということがわかった。直前までの民度の低さや指示無視がウソのように、ちゃんと写真に収まってくれている。

 

 

終了して解散する際に、先ほどあれだけ僕に暴言を吐いていた女性が「今日はありがとうございました!楽しかったです!」と爽やかに言いに来た。

「あ、TPOをわきまえてやっていたんだな」と実感して、なぜか笑ってしまった。

こういう異常な企画をやると、「あ、そこはマジメなんだ」という驚きや発見があって、いつも面白い。

集合写真にはちゃんと写ろうとする皆のマジメさや、終わった後に丁寧な挨拶をするマジメさが、妙におかしくて、「こういう発見があるから変な企画はやめられないんだよな」と思った。

 

声はガラガラ、めまいがするほど疲れている。

たくさんあった発見を思い返して笑いながら、僕は家路についた。

 

まとめ

  • 性格悪い飲み会は「民度低い飲み会」になりがち
  • 犯罪歴のある芸人は犯罪歴をイジられる
  • セックスが下手そうと罵られると興奮する
  • 人のためにティッシュを持ってくるとイエローカードが出る
  • 得点を食うジジイが出現する
  • カラシを食べさせられる人とかもいる(本記事上部のアイキャッチ画像を参照)

 

今後の告知

同じスポンサーの元、11月はこれをやる。

自分の職種を嘘ついて異業種交流会に参加しようとする人狼を見破れ!というあそび。

詳細は、こちらから。

 

参加申し込みはお早めにどうぞ。参加フォームを書かないと参加確定にならない。

 

また、今後の変わり種イベント情報に関しては、

 

 

するなどして、追いかけてもらえればと思う。

 

以上、長々とお付き合いくださって、ありがとうございました。

 

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author
Ken Horimoto
堀元 見

仕事は「新しいあそびを作ること」。異常なイベントを企画したり異常なWEBサービスを作ったりしながら生計を立てています。

好きなものはトンカツとインターネット。あと人の悪口。(性格が)悪そうなヤツはだいたい友達。

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