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むだそくんについて

企画はテロだ。面白い企画は必ず人を不愉快にさせる。

仕事論

先日こういう企画を発表しました。燃えそうな感じの、でも話題になりそうな企画。

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出してみると案の定、結構な話題になり、多くの人に言及いただきました。

しかも、賛否両論というよりは「賛」の方が圧倒的に多い感じでした。よかったよかった。皆結構ノリを理解してくれた。

旅人コミュニティの皆さんからも概ね好評で、嬉しかったです。

 

 

ということで、割と集客も順調で、懸念だった「旅人コミュニティ嫌いの集客」もどうにかなりそうです。

まだ参加できるので皆さんドシドシ申し込んでください!参加は上の記事からどうぞ。

あと、旅人コミュニティは懐が深い。タビッポの創業メンバーの一人も参加してくれることになったり、とってもいい感じです。旅人コミュニティの皆さんのこと、大好きになっちゃった!

 

ほんで、ここから本題。

「賛」の方がはるかに多かったとはいえ、「否」の方もあるわけです。

 

これに対する僕の答えはこちら。

 

 

僕はプロの企画屋であり、この手の批判やその反論についてはいつも考えています。

世間の皆様はあまり考えないかなという気がするので、今日はこの辺についてもうちょい詳しく書いてみます。

企画屋の役割とは何なのか、エンタメとは何なのか。あまり考えておらず脊髄反射で批判してしまう人が多そうなので、少しでもそんな脊髄反射の批判が減ることを願って。

 

 

企画とは、テロだ

フリーランス1年目の秋、伊予柑さんというドワンゴの社員と2人で遊んだことがある。

伊予柑さんはニコニコ生放送の企画に大いに関わっている、いうなれば企画屋の先輩だ。

頭脳明晰かつ常識に縛られずにズケズケと物を言う、いい意味で大人らしくない人だった。

どのくらい常識に縛られていないかというと、なぜか初対面の僕にいきなり「ストリップおごるから行こうぜ!」と提案してくるくらいだ。

浅草の有名ストリップ劇場の前で2人で撮った写真

 

僕は彼にあっという間に好感を抱いてしまった。僕は、頭は良いのに大人らしくない人が好きだ。

ストリップの後は焼き肉を食べながら、これからのインターネットコンテンツの動きや、企画屋の役割についてたくさん話したことを記憶している。

一緒に行動した数時間の中で、強烈に印象に残っている彼の一言がある。

 

企画とは、テロだ。

社会の最も柔らかい部分にくさびを打ち込むのが企画屋の役割だ。

 

感銘を受けた。企画屋の役割について、短くよくまとまっている言葉だと思う。

企画とは、テロだ。「これ面白い!」と思わせる企画は、必ず、既成概念への攻撃を含んでいる

 

 

僕が2017年、べた褒めした企画がある。

注文をまちがえる料理店という企画だ。趣旨としてはこんな感じ。

 

認知症の人をホールスタッフとして働かせる。認知症なので、注文はまちがえるかもしれない。

でも、まちがいを受け入れて、むしろ楽しもう

 

これは本当に素晴らしいと思った。2017年最高の企画を選べと言われたら、僕は即答でこれを挙げる。

「注文をまちがえる料理店」の素晴らしさはこの記事でも言及した。遊びと思想のバランスという視点で見た時に、この企画は文句なしに100点を与えられる企画だ。

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一方、上の記事では言及しなかったが、既成概念への攻撃という側面もある。

この企画は、

飲食店経営はミスを少なくして当たり前。オーダーミスは悪だ。

という、ガチガチに固まってしまった既成概念への攻撃を含んでいる。

間違ってもいいじゃないか、間違いを認めて楽しもうという提案であり、優しい世界への希求を含んでいる。

 

いい企画は、既成概念を攻撃していなければならない。

既成概念への攻撃を含まない企画は、面白いものにはならない。

なぜなら、既成概念への攻撃を含まない企画=ごく当たり前に行われている企画だからだ。

例えば、「隅田川の花火大会」は、毎年当たり前に行われていて、既成概念への攻撃はまったくない。それ自体が既成概念になっている。

だからこそ、企画としてはまったく面白くない。イベント自体は素晴らしいものだろうし皆盛り上がって楽しんでいるだろうが、「企画として面白いかどうか」とは無関係だ。

ちなみに、この場合の「面白い」は英語でいうinterestingであり、「興味深い」というニュアンスが強い。

面白い芸人を5組集めればそれだけで面白いお笑いライブはできるかもしれないが、企画としては面白くない(interestingではない)。

 

一方、pixiv株式会社が毎年のように実施していた「すごい豆まき」という企画が存在する。

これは、節分に4トンの豆をまくという、極めてシンプルながら非常に力強いコンセプトの企画だ。注文をまちがえる料理店に劣らず、僕の大好きな企画である。

さて、このすごい豆まきは企画として面白い。この企画は、既成概念に挑戦している。

  • 食べ物で遊んではいけない
  • 豆まきとは、家ないし地域の中で小規模にやるものだ
  • 豆まきは、地味で静かで、盛り上がりに欠ける行事だ

といった、数々の既成概念に挑戦している。

 

だからこそ面白いのだ。

 

エンタメ企画だから誰も傷つけない?逆だよ。

ここまで、既成概念に挑戦することこそが面白い企画の条件であると書いた。

となると、当然発生する現象が、「不愉快だ!」という批判である。

既成概念の枠の中にいる人は、自分の既成概念を攻撃されると拒否反応を示す

キングコング西野さんもホリエモンも毎日のように炎上している。彼らは既成概念を攻撃することを躊躇しない(彼らは良い「企画屋」でもある)からだ。

 

となると、当然こういう三段論法が発生する。

 

  1. 面白い企画の条件は「既成概念への攻撃」を含んでいることである
  2. 「既成概念への攻撃」は、「不愉快だ!」という批判を呼ぶ
  3. ①、②より、面白い企画は必ず「不愉快だ!」と叩かれる

 

ということで、ものすごく悪意的な言い方をするのなら、

面白い企画は必ず、人を傷つける

といえる。

 

この部分を理解している人はほとんどいない。

冒頭でも引用したツイートを再掲しよう。

 

この方の誤解は、大いにありふれた誤解だ。

「エンタメ企画」という言葉は、いかにもユルそうな言葉だ。

だから、特に頭を使わずに受け入れている人は「人を不快にする」ことを叩こうとする。そんなものはエンタメ企画じゃないと主張しようとする。

 

でも、逆なんだ。面白いエンタメ企画だからこそ、人を不快にすることがあるんだ。

「エンタメなんだから人を少しでも傷つけた時点で失格だ!」なんて、カケラも頭を使わない安易な批判はしないで欲しい。

少なくとも僕は、安易な批判をする人の10万倍は企画について考えている。きっと、他の企画屋の皆さんも同じだろう。フラフラになるほど企画のことを考えて必死でリリースしているはずだ。

そんな僕らの血の滲む努力の結晶を脊髄反射で批判する人が、一人でも減ると良いなと思い、今回筆を取った。

安易に企画を批判する前に、「企画とは何か」という命題に少しでも向き合ってもらえたら幸いだ。

 

補足:不快に思う人を最少にするのも、企画屋の仕事

1つだけ補足しておくと、「だからといってガンガン人を不快にさせていい」というワケではない。

なるべくならば人を不快にさせず、楽しんでくれる人を最大化するのが企画屋の仕事だ。

だから、今回の旅人コミュニティVS旅人コミュニティ嫌いの告知文もかなり気を使って書いた。できるだけジョークに寄せながら、できるだけ僕が悪者になるようにした。

旅人コミュニティへの偏見も、笑いにつながらなさそうなものは書かなかった。「あるあるネタ」として笑えるようなものだけを抽出して並べたつもりだ。

 

企画屋は、この努力を怠ってはならない。

可能な限り不快な人を減らし、面白がる人を増やすことが必要だ。

極論、「人々が感じる不快さ」と「人々が感じる面白さ」を比較して、不快さの方が大きくなったのだとしたら、それは企画としてやるべきではないものだということになる。

ここに怠慢さを感じたなら、企画屋は批判されてしかるべきということになる。

 

まとめ

  • 企画とは、テロだ。既成概念を攻撃するのが面白い企画だ
  • 既成概念を攻撃されると不快になる人がいる。だから、面白い企画は必ず人を不快にする
  • あなたが不愉快だからって安易な批判はやめよう。それともあなたは面白くない世界がお好きですか?

 

以上、お付き合いくださってありがとうございました。

 

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Ken Horimoto
堀元 見

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