こんにちは。今年は友人の分も引き受けたので、二人分の確定申告をしなければいけません。経理に強い何でも屋こと堀元です。
さて、僕の最大の趣味は”マンガ”です。
実家にはマンガの単行本が2000冊くらいありましたし、今Kindleの中にも2500冊くらいマンガが入ってます。
で、マンガに向き合うスタンスって結構色々あると思うんですけど、僕は基本的に「マンガは魂を削って読むもの」だと思ってるんですよね。
脳の中をかき乱されて、立ち上がるとフラつくぐらい体力を消費しながら読むのが本当に良いマンガ読書の時間じゃないかと思ってます。
いや、反論は分かるんですよ!施川ユウキ先生のマンガとかも大好きなので、癒やしとしてのマンガの楽しみも分かります。
でもやっぱり僕にとって「マンガ」の最大の価値といえば、そのくらい魂削って読んだ経験だなと。
ということで今回は、魂を削りながらじゃないと読めないようなシリアスなマンガを10作品紹介します。読むと疲れるので、休みの日にじっくり読むのがオススメ。
年末年始の休みで是非読んでみたらいかがでしょうか。
シグルイ
僕の中のベスト・オブ・ベストマンガです。これがなければ僕のマンガ人生はなかったかもしれない。
何がヤバいってね、マンガ的表現がヤバいの。全キャラクターがヤバい。
例えば、主人公の師匠「虎眼」先生。ヤバいです。
「虎眼流(自分の流派)の跡継ぎはどっちがいい?」という質問に対して、「藤木です!三重どの(虎眼の娘)を敬ってるからです」と弟子が答える、ごく普通のやり取りに見えます。
その結果、口を切られます。無茶苦茶だよ。怖いよ。
ちなみに、切られた理由は「わしはどちらが強いかと尋ねておる!」とのことです。娘がどうこうとかどうでもいいのだそう。
このマンガの世界観だと、言葉の選択肢を間違うと死に直結します。命がけのギャルゲーみたいですね。
登場人物は全員凄まじいまでの狂気を抱えています。
人間であることはとっくに捨てていて、殺すこと死ぬこと、剣士であることだけに向き合っています。
ちなみに表題「シグルイ」の語源は、「死狂い」です。まさに看板に偽りなし。全員狂気のマンガです。
とにかく、全てのシーンがカッコいい。登場人物全員ヤバいですし、戦闘シーンも全部ヤバいです。
17歳の頃、このマンガを手にとって、マンガという表現方法の持つ可能性に感動しました。
ホントに面白い。文句なしの傑作。
ちなみにシグルイは、直木賞作家の南條範夫の小説「駿河城御前試合」を原作にしている……ということになっているのですが、全然内容が違います。
全員狂っていたマンガ「シグルイ」に比べて、原作はだいぶマイルドです。
ギャグみたいな話なんですが、原作では前述の口を切るシーンで、口を切らずに談笑します。
虎眼先生に「跡継ぎはどっちがいい?」と聞かれ、「藤木ですね。三重様を敬ってるからです!」と答えた牛股に対して、口を切らずに「だよねえ。わしもそう思っていた。ハッハッハ」って答えてました。
無頼伝涯
「カイジ」「アカギ」などの印象が強い福本伸行作品ですが、僕はこれがイチバン好き。
福本マンガは大抵”ギャンブル”を通して人間とは何か、正しさとは何か?を描いているのですが、こちらの無頼伝涯は比較的ストレートに、言葉で人生を表現しています。
道を指してこそ力……!
未来を築けてこそ力だっ……!
ただ破滅するだけの暴力なんて
そんなもん……断じて力じゃないっ……!
(中略)
うさぎやねずみ……いや……這うことしか知らぬ虫ケラ……
微生物にいたるまで……生き物たちはみんな……
未来のために……自分の力を使っているんだぜ……!
あらすじは、ざっくり言うと
警察官を次々となぎ倒して逃走を続ける少年、涯。
涯の容疑は、大金持ちの老人平田氏の殺害。金目当ての犯行であると思われる。
しかし本人は一貫して容疑を否認、捕らえに来た警察をなぎ倒しながら逃走を続ける。
とうとう袋小路に追い込まれた涯は、警部である阿部の説得に共感。暴れるのをやめて、「未来に向かう。俺の力で無実を証明してやる」と宣言し、おとなしく捕まる。
阿部は調書を調べるうちに、涯は本当に無実であることを確信。二人は手を組むことになる。
しかし涯が送られたのは、送られた人間を容赦なく洗脳する孤島の更生施設。
この更生施設から逃れつつ、証拠を探し、自ら無実を証明するために、必死で戦う涯の物語。
という感じ。
間延びしまくっている今のアカギなんかと違い、とにかくテンポが良いです。5巻完結。
ず〜〜〜っと魂がヒリヒリしっぱなしの、名言まみれマンガ。
福本伸行の「人間とは何か」への深い理解が爆発している傑作です。
カイジとかが好きな方は絶対これも好き。しかもカイジを上回るテンポで人生に語りかけてきます。是非読んでね!
天
こちらも福本伸行のマンガ。先程の「無頼伝涯」に次いで好きなのが、「天」です。アカギより前からやってた麻雀マンガ。
麻雀してる部分もめちゃくちゃ面白いのですが、圧巻なのは、最後の3冊。
最後の3冊は、麻雀マンガなのに、麻雀は一切しません。(一部、例え話やミニゲームで麻雀牌が出て来るだけ)
じゃあ何やるのかって言うと、赤木の葬式です。
「赤木の葬式があるぞ〜!」と集められて、がっかりしながら線香を上げたものの、なんとビックリ。
赤木、めっちゃ生きてます。渾身のドッキリでした。
しかし、話を聞くと「あと数時間で死ぬから良いんだよ」とのこと。
赤木はアルツハイマーを患っていて、ドンドン知性が失われているところでした。
そして、赤木は「知性が完全に失われる前に自分で死ぬ」ことを決めます。
最後の時間の使い方は、熱い勝負を共にした8人の男と、一人ずつ語らうこと。
赤木をこのまま死なせるほうがいいのか、説得して止める方がいいのか、皆分からぬまま、赤木と最後の時間を過ごすことになります。
このやりとりが、もうとにかく熱いの!!
全員、それぞれの個性や方針を持って赤木との最後の対話をします。もうね、全員分凄い。人生観を揺さぶられるやりとりの嵐。
以下一例。
分かるか…?
成功を目指すな……と言ってるんじゃない……!
その成否に囚われ……思い煩い……止まってしまうこと……熱を失ってしまうこと……
これがまずい……!こっちのほうが問題だ……!
いいじゃないか…!三流で…!
熱い三流なら上等よ……!
まるで構わない…構わない話だ…
だから…恐れるなっ…!
繰り返す……!失敗を恐れるな……!
天の、この辺のやり取りが好きすぎて、僕は何度も何度も読んできましたし、何ならこのマンガを元にめっちゃブログを書いてます。
これもそうですし、
これもそうです。
日々、僕の思考の裏側にはこのマンガがありました。
本当に良いマンガですし、特に最後の3冊は圧巻の完成度です。人生観揺さぶられっぱなし。
麻雀が分かんない人は16巻〜18巻だけを読んだら良いと思う。それもありです。
累(かさね)
こちらに関しては面白すぎたので以前、別立てで記事にもしました。
ざっくり言うと、
とんでもない美女の女優から、とんでもないブスの娘が生まれてイジメられてた。
しかし、このブスの娘には「赤い口紅」という最強アイテムがあった。
赤い口紅を塗って、誰かにキスをすると、その人の顔を半日ほど奪うことができる。
みたいな話です。
極めてシンプルな設定でありながら、人間の”美醜”に肉薄した傑作です。
ブスの娘は何度も何度も、美女の顔を奪って舞台に立ち続け、名女優としての地位を確立していく。
しかし同時に、自分ではない人間を演じ続けたり、真相を隠し続けたりすることで、非常に多くの葛藤や、他者の凄まじい犠牲が生まれます。
醜い人間は、美しい仮面を被って生きていくべきか?
そんなテーマに肉薄しています。震えたい方は是非読んで下さい。
昭和元禄落語心中
一言で言うなら、「ヒカルの碁を大人っぽくしたやつ」です。落語版ヒカルの碁と言っても良いかもしれません。
僕はこれを読んで、
と、本気で思いました。この熱量、ヒカルの碁を読んで囲碁を始めたときにそっくりです。
「昭和元禄落語心中」というタイトルからも分かるように、テーマはちょっと暗め。
ざっくり言うと、あらすじはこんな感じ。
昭和最後の大名人と呼ばれた落語家「有楽亭八雲」。彼の落語の完成度に惚れた主人公、「与太郎」は、むりやり押しかけて彼に弟子入りを志願する。
愛嬌で八雲に気に入られ、無事に弟子入りできたものの、同居人曰く、八雲は「落語と心中する」つもりらしい。
そして、この同居人の父親と八雲には深い因縁があるらしい…
与太郎は落語を練習しながら、この八雲師匠にくっついて少しずつ落語家になっていく。
そして、八雲師匠の秘密にとうとう触れることになる…
そんな訳で、この物語の最大の見どころは、主人公の師匠「八雲」の若い頃の悲劇。
あまりにも悲しく、あまりにも美しいエピソードに、魂を揺さぶられます。
師匠、有楽亭八雲と、同期の相棒「有楽亭助六」は、二人で落語の未来を作ろうと近い合った仲でした。
戦争を乗り越えた日本人は、復興と共に娯楽を求めるようになり、二人が望んでいた未来が訪れるようになります。
落語の腕もメキメキ上がり、客からの人気もうなぎのぼり。
しかし、全てが順風満帆には行きません。
一つは、恋愛関係。
八雲は、付き合っている芸者との関係に悩みます。
八雲の落語は、緻密さの落語。彼は「独り」という言葉を好んで使います。独りで緻密に完璧に積み上げた落語を作るために、独りになることを決めました。
別れの言葉は、「今度会う時は地獄ね」でした。八雲にとっても、芸者にとっても、ひどくツラい別れでした。
そして、助六の破門。
落語の未来について、師匠とぶつかり合った結果、助六は破門になってしまいます。
こうして生まれた”振られた芸者”と”破門された落語家”。そんな二人が…
グチャグチャになった人間関係の中、若かりし頃の八雲は独り、取り残される形になります。
それでも、助六に伝えておきたかったこと。
「落語だけは辞めるな」
そうして東京を離れる助六と、東京に残る八雲。
師匠である先代八雲も死に、独りになった八雲の落語には磨きがかかっていきます。
そんな八雲が、再び助六に会いに行ったときに見るものとは?
そして、二人の因縁の終着点とは?
この辺については、是非皆さん直接読んで確認してください。
ちなみに、なぜかKindle版の1巻はずっとゼロ円です。ゼロ円の1巻だけでもいいので読んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに僕のKindleデビューもこのマンガでした。スマホでもタブレットでもPCでも読めます。
喧嘩商売&喧嘩稼業
なおも連載中の傑作。6巻くらいまで読んでしまったらもうやめどきが分からなくなります。
全シーンがむちゃくちゃかっこいいし、表題の”喧嘩”の魅力がたっぷり。
リングの中での戦いよりもむしろ、戦う前の情報収集や作戦立案、相手に毒を盛るなどの裏工作が熱いです。
登場人物の発想は基本的に「事前にリサーチをして、可能な限り自分が有利に戦える環境を作る」です。
そのためには、
- 毒を盛る
- 間違った情報を刷り込んでおく
- リングに仕掛けをする
- 因縁のある者同士を事前に喧嘩させて、体力を消耗させる
などなど、ありとあらゆる手法を使います。ああ!なんて熱い権謀術数なのでしょう!
昨今大変な人気がある「キングダム」と同じくらいの熱量と魅力のあるマンガなのですが、独特の読みにくさがあり、そのために読者が少ない印象です。
何で読みにくいかって言ったら、喧嘩を題材にしたマンガなのに、本筋と関係ない「未成年淫行条例の話」が凄い頻度で挟まってくるからです。
しかも、その時々の未成年淫行で逮捕された漫画家や有名人をイジったりするので、今から読んでも「?」ってなりがちです。
が、あまり気にせずテキトウに読み進めましょう。上級者になると読み返しすぎて、未成年淫行条例で捕まった有名人に関してやたら詳しくなります。(なりました)
現在は新シリーズの「喧嘩稼業」として連載中ですが、もうホントに面白いですね。文句なしに新刊が一番楽しみなマンガです。
読みにくさは若干ありますが、是非皆さん読んでみてください。本気で読むに値するマンガです。
嘘喰い
とにかく面白い。連載始まってすぐ、中学生のときに初めて手に取りました。今もワクワクしながら読んでます。10年以上連載してるんだな。すげえな。
このマンガの何と言っても圧巻なのが、5巻から行われる「ババ抜き」です。
ババ抜きを、大の大人が大真面目にやります。その状況がちょっと面白い。
ちなみに、サラッと「ババ抜き」と書きましたが、賭けているものは所持金全額と命です。
負けるとその場で首吊りしなければいけないというとんでもないギャンブルです。
そしてなぜか、不可解な事象が次々に発生します。
尋常ならざる自信でカードを引いたり…
なぜかカードを差し出すことに成功していたり…
挙句の果てに、普通にカードを覗き見たりします。
ナレーションに「何が起こっているんだ!?」とありますが、まさに読者も同じ精神状態になります。
そして、全てが終わった後に、キレイに種明かしが行われます。
これがもう鮮やかすぎてね!!感動なんですよ。
読み切った後の、
という感覚、たまりません。極上の種明かしです。
この先は是非、あなた自身の目で確かめてください(昔のゲームの攻略本風)
あとね、作者の画力がドンドン上がっていくのが面白い。絵の迫力が天井知らずに上がり、笑っちゃいます。
画力の変化をご覧ください。
1巻の頃は、まあ並か並以下といった感じなのですが…
3巻あたりから徐々に画力が向上していき、迫力を感じさせます。
この辺まで来ると画力は文句なし&演出も非常に上手で、完成度の極めて高いマンガになります。
13巻くらいからは、最高レベルの画力に入ってきます。
戦っている二人の男が、同室で対峙するというだけのシーンなのに、緊張感で胸が押しつぶされそう。
40巻を過ぎた辺りからは、もうこれ一枚の絵で作品として成立するんじゃない?という感じ。
マンガを芸術にまで昇華させた例の一つだよな、と思っています。絵の迫力だけで震えざるを得ない。
劇的に向上していく画力も含めて、とにかく少しも目が離せないマンガです。
こちらも、時間があるときに一気読みがオススメです。15巻を過ぎた辺りから、話がドンドン複雑化してきて、
- 主人公の思惑
- 主人公仲間の思惑
- 敵組織Aの思惑
- 敵組織Bの思惑
- 敵組織Aに雇われている敵A’の思惑
- 国家権力(敵組織Bと協力関係にある)の思惑
- etc…
のように、色んな人たちの思惑や利害関係が絡んで、一気に読まないとワケが分からないということになりがちです。
疲れますが、本当に面白いので是非。
アドルフに告ぐ
日本人の「何となく手に取ったことはあるけど内容は覚えてない」マンガ一位じゃないでしょうか。
めっちゃ名作なんですけどね。かくいう僕も割と最近Kindleで読みなおして、感銘を受けました。
漫画「アドルフに告ぐ」を、10年以上ぶりに読んだ。前に読んだ時は中学生だった。
当時は「なんか辛気臭い漫画だなあ」と思ったけど、今読むと言うまでもなく至高の名作だ。それまでずっと哀れな狂信者だったアドルフ・カウフマンが、一人の男として旅立つこのシーン、震える。 pic.twitter.com/7sOeeHmflY
— 堀元 見@企画屋 (@kenhori2) September 2, 2017
大体のあらすじはこんな感じ。
舞台は神戸のとある街。その街には二人のアドルフがいた。アドルフ・カウフマンとアドルフ・カミルである。
カウフマンはドイツ人、カミルはユダヤ人だった。
当時、ドイツはナチス党が支配的であり、カミルの両親はドイツから亡命して神戸に住んでいた。当然、二人の親同士はお互いをよく思っているはずはない。
しかしひょんなことから、二人は親友になる。少年の友情に政治的な背景は関係なかった。
ある日、カミルは父親たちの会話を聞いてしまう。「ヒトラーがユダヤ人である」という内容だった。
一方、カウフマンは長じると共にナチスの狂信者になっていく…
カウフマンは、一貫して哀れな狂信者として描かれます。ナチスに命を捧げ、ナチスのためになんでもやる。
そんな彼の、ヒトラー死後の行動が見どころ。
カウフマンは、最愛の母の最期に立ち会わないという選択をします。
彼が、信念と正義の下に行動する一人の男だったことが描かれるシーンです。
正義の反対は、もうひとつの正義だ
というありふれたフレーズがありますが、まさにこのカウフマンのシーンも同様です。彼は彼なりの正義に依って立っていました。
そして、彼なりの新しい正義を見つけるのかと思いきや、結局もう新しい生き方を探せないというところも非常にリアルで悲しい。
人生、戦争、正義、狂信など、大いなるテーマに肉薄した素晴らしいマンガです。いつ読んでも古くない。
「アドルフに告ぐ」、昔読んだことある人も、今一度読み返してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、「手塚治虫やっぱいいマンガ描くね!」ってなったら、是非この年末年始に漁りましょう。こちらもKindleがオススメ。
手塚治虫作品だと、「七色いんこ」「きりひと讃歌」あたりもオススメです。この辺はマイナーなので読んでない人も多いのでは。文句なしに面白いです。
通にウケる「陽だまりの樹」は長いのであまりオススメしません。僕の評価は前2作の方が上です。
ヒストリエ
「寄生獣」ばかり取り上げられて、こちらがスルーされがちなのが納得いかない。寄生獣と同じ作者、岩明均のマンガ。
- 寄生獣よりメッセージ性控えめ、ドラマ性強め
- 古代ギリシャの話。アリストテレスとかその辺
- 歴史ドラマだけど知識なしでも楽しめる。
ですね。僕は寄生獣よりこっちの方が好き。好みの問題ですけど。
このシーンが有名です。
「よくもぼくをだましたな!」という内容を、6ページに渡って叫ぶという渾身のシーンです。
こういう新しい表現方法に挑戦できるのが、力量と余裕のある漫画家って感じがしますね。
この主人公はなぜ怒っていると言いますと、実は自分が奴隷民族の子どもだったということが発覚したからです。
彼は地域の名家の子どもとして育てられ、何不自由ない暮らしを送っていたのですが、ある事件を境に奴隷へと転落。
奴隷として売られることが決まって、生まれ育った家を出て行くときのセリフです。
スタート地点最低。奴隷の地位からスタートし、頭脳と度胸だけで駆け足に出世していくという立身出世の物語です。
腕力を使わず、政治術で戦うキングダムって感じですね。
ちなみに、この物語は、史実にもとづいておりまして、主人公「エウメネス」も実在の人物だそうです。
驚くほどの頭のキレで、王様のご機嫌取りから戦の指揮、内政や外交までこなしていきます。
「王様の機嫌を取る」というタスクが存在するリアルさがすごい。
リアルな立身出世劇を楽しめます。実力派漫画家・岩明均が描く骨太な歴史ドラマに、溺れてみてはいかがでしょうか?
鈴木先生
「教育」と「人間」を、凄まじい力強さで描き出す傑作。
実写映画化されて話題になりましたが、マンガは読んでない人が多いのでは。これは、集中できる環境で読むのをオススメします。
なぜなら、登場人物と一緒にじっくり考えることがこのマンガの楽しみ方だから。
本作は、大した話じゃないのに、めっちゃおおごとになるという思春期の悲しみとおかしさを繊細な筆致で描き出します。
第一話からその持ち味は遺憾なく発揮されます。第一話のテーマは「ゲリミソ事件」。
給食の時間に、優等生が「カレーを食べているときにゲリミソと言う」問題行動を取るという事件です。テーマが小さいwww
しかし、鈴木先生はめっちゃ悩む。
1コマを抜き出してくるとギャグ漫画ばりのシュールさなのですが、異様な迫力で読者に何かを問いかけてきます。
繰り返しますがこれ、「給食でカレーが出たときにそれをゲリになぞらえた発言をする」という問題行動に関する話ですからね。
そんな小さな話が、すごいレベルの話にまで引き上げられて展開されています。
しかしその過程は非常に論理的であり、ありふれた問題だからこそ、読者も共に考えざるをえません。思考に引っ張り込む力があるマンガです。
教育者として、生徒に何を聞かせるのか。
彼らに何を問い、何を伝え、何を考えさせるのか。
僕はこのマンガを読んだ当時は自分の進路は教育業界だと思っており、「教育者の使命とは?」と言った内容に大いなる関心を持っていましたから、自分でも全力で考えながら読みました。
自分でも考えながら読むから、普段マンガを読むスピードの5分の1くらいでしか読めません。
鈴木先生や生徒が悩んでいることは、答えが出ない問いでありながら、人類が向き合う普遍の問いでもあります。
時間がいっぱいあるときに読んで、「あなたなりの答えを出す」という読み方が正しいのかもしれません。
最後に、本作の中で繰り返し出てくる、教育者としての心がけを。
今日もこいつらに全力で教えよう。
めいいっぱいクールに…せいいっぱい真摯に──
以上、魂を削って読むべきシリアスマンガ10選でした。
今回紹介したのは本当にどれも面白く、どれも疲れます。
長めのお休みを使って、是非じっくり読んでみてください!