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むだそくんについて

地球にただ一人取り残されて遊び続けるYoutuber「シラオサ」の話

面白いもの

あなたは日常の中で「この人は狂っている」と、感じることがあるだろうか。

僕にはある。というよりも、僕は「この人は狂っている」と感じる回数を最大化するために生活を最適化しているフシすらある。

 

大学生の時、僕の周りに「狂っている」人は一人もいなかった。在学していた慶應義塾大学には、良家のご子息として生まれ、マジメに勉強をし、ちゃんとした企業に就職する人ばかりだった。

僕はもっと異常な人の話を聞きたかったし異常な人の集団に身を置きたかったから、学部を卒業した後は、謎のビジネスを転がす異常な進路を選んだ。大学院への推薦進学を直前で破棄して、教授に叱られながら。

目論見は概ね成功し、今は身の回りに異常な人間ばかりがいる。2018卒の友人はほとんど就職しなかったし、僕が主催するおかしなイベントにも集客に困らないくらいには人が来てくれるようになった。

 

そんな僕なので、おかしな人のおかしな話を毎日のように聞いており、ちょっとやそっとのことでは「狂っている!」と思わなくなってしまった。

 

  • ホームレスとして生きていくことにしました!
  • 常に裸足で生活しています!
  • 金持ちに気に入られてベーシック・インカムをもらっています!

 

こんな話は枚挙にいとまがない。もはや聞いても「おっ!君もか!」くらいの反応しかできなくなった。

 

ところが、3週間ほど前に、「こいつは狂っているな」とはっきり思う出会いがあった。

今日は彼について書いてみようと思う。

 

「シラオサ」との出会い

彼との出会いは、「うろ覚え飲み会」というシュール極まりない企画だった。

「うろ覚えのことだけを話す。アレなんだっけ?と言いながら盛り上がる」というシュールな企画

 

それまでは面識も全くなかったのだけれど、初コンタクトから小ボケを放り込んだDMを送ってきたのをよく覚えている。

「うろ覚え飲み会」を活かした参加メッセージ

僕は小ボケを放り込んでくる人間が嫌いではない。

初対面で礼儀を欠いている人間は嫌いだが、こういった小ボケの場合は大いに歓迎する。もちろん参加は快諾して、うろ覚え飲み会の場で話すこととなった。

 

うろ覚え飲み会の現場では、彼に対してそれほど強い印象があるワケではない。集団の中でグイグイ出てくるタイプでもない彼は、印象に残らなかった。終始ニコニコしながら話にあいづちをうっていたように思う。

今考えると、受け答えの一部のノリがおかしかったり、無理やり分かりにくいボケを放り込んで失敗していたり、「ちょっとおかしいかもしれないな」と思うことは何度かあったかもしれない。

ただ、それが大きく場を乱すこともなかったし、概ね問題なくコミュニケーションが取れていたから、特別に気にすることはなかった。何より、飲み会が予想外に盛り上がって楽しかったから、そんなわずかな不協和音は最後まで耳に入らなかった。

 

解散後にコンテンツを見て、度肝を抜かれた

うろ覚え飲み会は、面白かった。少人数の企画ということもあり、言い出しっぺの僕も普通に楽しんで、大きな満足感とともに終了した。

堀元
今日は面白かったなあ…

と思いながら、スマートフォンを撫でてTwitterのタイムラインを眺める。参加してくれた人が「めっちゃ面白かった!」とツイートしてくれるのを見て、満足感に浸る。

「シラオサ」もご多分に漏れず、「面白かった」とツイートしていた。何の気なしに彼のアカウントをタップして、過去のツイートを見た。

彼はブログを書いているらしい。自分のブログのURLを貼って宣伝していた。やはり何の気なしにURLをタップして、読んでみることにした。

 

僕は出会った人のブログを読むのが好きだ。ニコニコした感じの人に見えても実は鋭いコンテンツを作っていたり、攻撃的な人に見えても実は優しい文章を書いていたり、意外なギャップが見えることがある。

彼の場合も、そのコンテンツで僕の度肝を抜いた。

 

ブログが気色悪い

彼のブログ「就活したくないシラオサ.com」は、そのトップページからして気色悪い。

真ん中の「シラオサ」はボタンになっている。押すと彼の自己紹介ページに飛ぶ

 

トップページが表示されて1秒で「気色悪いなあ…」という感想を持ったのだけれど、更にあと1秒見ていると気になる要素が増えた。

 

 

このボタン、押したら何が起こるんだろう……

 

そう、普通はこの「ヘッダーをスライドさせるボタン」は「オススメ記事を次々に表示させる」みたいな用途で使うものだ。

しかし、この異様なヘッダーのノリからして、スライドしてオススメ記事が出てくるとも思えない。

恐る恐る、ボタンを押してみた。

 

小気味いいアニメーションとともに、この画像にスライドした。

「気色悪い」という感想ばかりが積み上がっていく。気色悪い。とにかく気色悪い。

ちなみに、真ん中の「唇」という文字は、ボタンになっていて押せるが、押しても何も起こらない。ますます気色悪い。

 

しかし、僕はこの時点で既にこのブログの気色悪さの虜になっていた。

離脱はできない。記事をタップして読み始める。

 

ブログの記事、全然おもしろくない

読んでみて驚いたのは、ブログの記事自体が全然おもしろくないということだ。

就活カードでふざける」という記事をまず読んでみたのだけれど、全然おもしろくない。

記事の構成も筆力もめちゃくちゃで、読者を完全に置き去りにしている印象だ。

就活カードを題材に大喜利をしていく内容だけど、全然おもしろくない。

 

サラッとやっていることが気色悪い。おもしろい

では上記の「就活カードでふざける」という記事は何のおもしろみもないのか?

結論からいうとそんなことはなかった。

一番最初でサラッとやっていることがめちゃくちゃ気色悪くておもしろかった。

 

サラッとやっていることが気色悪い

 

この記事の一番最初で、「証明写真がなかったので自分で撮る」というくだりがあるのだけれど、

写真の背景色を吉岡里帆の肌から抽出するという狂気の行動を行っており、しかもそれをサラッと処理している。

彼はそういうタイプだ。サラッとやることがおかしい。狂っている。行動も狂っているし、コンテンツの焦点も狂っている

 

でも、彼には大いに可能性を感じた。

これだけ狂っているものを作れるのは才能だ。彼の作るもの、僕はとても好きだ。

そんなワケで、彼のブログを見てすぐに、彼に連絡を取った。

 

「Youtuberをやってくれ。俺チューニングするから」

連絡を取った翌日、彼は僕がよく作業している渋谷のカフェに来てくれた。

彼の狂気を作ったのは何なのか。彼は何に支えられて、あの狂気のコンテンツを作っているのか。

一時間、色々なことを話した。僕も彼もインターネットコンテンツが大好きだったし、僕の親友でもあるジャンプ力に定評のある前田に影響を受けてブログを始めたという彼とは、話は尽きなかった。

 

彼の性格や原体験をおおよそ理解して、

「よし、あそびカタン。の宣伝をするYoutuberをやってくれ」という声が、自然に漏れ出してきた。

というのも、ぼくは「あそびカタン。」というWebサービスをやっていて、その宣伝をしてくれるYoutuberをかねてから探していたのだ。

 

堀元
基本的に、僕は君の作るものが好きだから勝手にやっていい。

君の作るもの、チューニングがちょっとおかしいから修正はするけれども

と言っておいた。

 

「プロデューサー」という肩書きがある。AKB48における秋元康であり、創作物や創作者の方向性を決め、世間に売り出していく人だ。

僕は彼を「プロデュースする」つもりがすごくあるのだけれど、「プロデューサー」という表現は多分正しくない。

彼の面白い部分は彼の狂気だし、基本的には彼はそのままにしておく方が面白いと思う。僕がプロデュースして彼の方向性を決めるなんておこがましい。

 

だから、僕が彼に対して行うのは「チューニング」だ。彼は世間に合わせてコンテンツを構成するのが下手くそで、チューニングがグチャグチャのコンテンツを作ってしまう。

僕はそれをチューニングしていこうと思う。話しながら、そんなことを思った。

 

作ったのはまさかの「3030年……」

そんな会話をしてから一週間が経ち、彼の作った最初の動画が完成した。

動画を作るにあたって、僕が彼に出した条件は1つだけ。

「あそびカタン。の中のあそびを紹介する動画にしてくれ」だ。

それ以外の全ての要素は彼に丸投げした。宣伝効果が少しでも大きいものを、とは思わない。面白いものができたら良いと思った。

 

その結果、出てきたのはこれだった。

 

サムネイルからして気色悪いのだが、中身も存分に気色悪いのでぜひ見て頂きたい。

 

というかこの動画、そもそも世界観がおかしい。

開始4秒のスクショ

 

「あそびを紹介する」というポップで平和なテーマなのに、彼は「3030年の、人類が滅亡した世界」というおどろおどろしい世界観で動画を作ってきた。

また、「通称ロビタ」によって「集団自殺する」という火の鳥ネタを放り込んでいるのも興味深い。多分彼は火の鳥がすごく好きなんだと思う。

ちなみに、動画中盤で「人類が全員死んだのになぜ彼だけが生き残ったのか」という問いにも一応の回答が与えられる。この回答についても火の鳥の設定が活かされており、微妙に伏線回収してドヤ顔するんじゃねえ死ねという腹立たしさがこみ上げてくる。

 

そもそも、「あそびを紹介する」というチャンネルなのになぜ「人類が自分以外死滅した」という設定にしてしまうのか、感性がまるで理解できない。今後ずっと一人遊びしかできないというハンデを負うのに。

ちなみに、そんな一人遊びしかできない欠点を指摘すると「その方がおもしろいと思う」と返ってきたので、マジかこいつ…と思った。

 

漫画「セトウツミ」にこういう場面がある。

登場人物である「瀬戸」の人生観をよく表わしている素晴らしいシーンだ。

彼はこれを地で行く人間だし、僕もそうありたいと思っている。

 

ということで、最初こそ「人類死滅設定」は引っかかったものの、このままGoで行くこととなった。面白いから

これからも、一人遊びを続ける孤高のYoutuberシラオサを応援して欲しい。世界にたった一人生き残った彼はきっと孤独だろうから。

 

チューニングする前

ちなみに、上に載せた動画はチューニングした後の完成品である。「えっ!?これで!?」と思われたかもしれないが、最初はもっと荒削りだった。

 

テスト用に撮ったもの(未編集)はこんな感じだ。

 

下ネタがぶちこまれていたり、ムダに長かったり、オチが弱まる部分があったりして、よりグチャグチャである。

これをチューニングしていって完成したのが最初の動画だ。比べてみるとまとまっているのが分かるはずだ。

 

チューニングの様子

 

ちなみに、チューニングの過程で、彼が尊敬するジャンプ力に定評のある前田にもアドバイスをもらった。彼の惜しみない協力にも敬意を表したい。

 

これからも一人遊びをするシラオサを応援して欲しい

以上、狂った大学生をYoutuberとしてデビューさせた話を書いた。

彼はこれからも、広い世界にたった一人生き残った不老不死の男として動画を撮り続けると思う。

ちなみに、僕の手元には既に完成した2本目の動画があるのだが、1本目と同じくらいに気色悪い。同じテイストのものである。

この気色悪さ、動画を何本か見ている内にヤミツキになると思う。ぜひこの2本目もあなたに見て欲しい。

チャンネル登録をしてくれたら更新情報も届くし、何より僕と彼の励みになる。以下のリンクから、どうかチャンネル登録をして欲しい。

 

あそびカタチャンネル

 

ちなみに次回の動画は「一人こっくりさん」である。テーマからして気色悪さが溢れ出している。乞うご期待。

author
Ken Horimoto
堀元 見

インターネットおもしろ雑文オジサンとして生計を立ててます。(性格が)悪そうなヤツはだいたい友達。

最近の主な収入源はnoteの有料マガジン『炎上するから有料で書く話』です。記事が面白かったら投げ銭がてら購読してください。

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