千葉の山奥であの村という月額会員制村作りサービスをやっています。堀元です。
早速本題なんですけど、あの村というサービスをやってる関連で、野蛮人求人という謎の求人を出したんですね。こういうのなんですけど。
実際のページはこちら→野蛮人求人サイト
サイトは全力でフザけ倒してるんですけど、内容的には結構マジの募集です。
- 食費はゼロ(あの村にある食材を無限に食べていい)
- 滞在費もゼロ(あの村の小屋で寝泊まりして良い)
- 給与もゼロ
- ただし「いい働きだね!」と堀元が思った時には個人的にお小遣いをあげる
- 基本的に何やってても自由。気が向いた時に掃除とか、たまに手伝いしてくれ。
- メリットは、「(理論上)ゼロ円で極限の山奥暮らしが楽しめる」
というような内容ですね。
結論から言えば、これがすごく良さそうです。
実際に一人目の野蛮人を迎え入れて、何が起こったかというと
- 野蛮人、めっちゃ自由。楽しそう。
- 僕もマネジメントしなくていいのでめっちゃ気楽。たまに一緒に遊んで楽しい。
- でも結構掃除とかしてくれる。助かる。
こんな感じですね。
という気持ちが強まる一方です。
ので、この野蛮人求人について詳しく書いてみます。皆こういうのやった方がいいよ。
大まかな話の流れとして
- 野蛮人の紹介
- 野蛮人のやってたこと
- 野蛮人制度のメリット、デメリット
- 結論「こういう雇用形態を皆やるべき」
という感じで展開していきます。よろしくお願いします。
野蛮人の紹介-「みかん」くん
はい。彼が初代野蛮人の「みかん」くんです。
彼のTwitterアカウント:みかん(みかにずむ)
Twitterアカウントは結構ヤバそうな感じなのですが、とても気さくでインテリでいい男です。
「Twitterを見た限りヤバいと思ってましたが、普通に話しやすいですね」とよく言われるそうです。※僕も初対面の時に全く同じ印象を持ちました。
最初の野蛮人は、トライアル的に、23日ほど滞在してもらうことになりました。(現状、21日目です。あと2日で任期終了ですね)
野蛮人のやってたこと「ずっと笛作ってる」
で、野蛮人の彼は、何か知らんけどずっと笛作ってます。
あの村はそこらじゅうに竹が生えてまして、その辺の竹をフル活用して笛を作っていました。すごい。
彼いわく、「楽器が本当に好き。人生の幸福度を上げてくれる。作るのも面白い」とのことで、無限に作れるそうです。僕が観測しただけでも、尺八を十本以上は作ってるんじゃないでしょうか。横笛とかも相当作ってました。
で、この制度のすごく良いのが、「人件費を出してないので、僕は彼が遊んでいるのを見守っていられる」ということです。
もし人件費を出していたら
と、費用対効果を意識したマネジメントをしなければいけないのですが、いかんせん一円も出してないので、
と、子どもに声をかける保母さんのような振る舞いになります。
みかんくんの返答も、
と、すごく楽しげです。
彼はそんな感じで暮らしておりました。僕も楽しかったし彼も楽しかったし、村は少し発展したし、という感じですね。副産物として大量の尺八も生まれました。
野蛮人制度のメリット
経営者から見た場合のメリット
まず経営者視点から見るとこんな感じ。
- お金がかからない(食費だけちょっとかかる)
- マネジメントの手間がない
- ギスギスしない(労使対立が生まれない)
- 野蛮人の楽しさが、顧客価値の増大にもつながる場合がある
さっきも言いましたが、ポイントは、「マネジメントの手間がない」ことです。これが非常に大きい。
人を雇った方がある方は大変よくおわかりでしょうが、「人件費を出す」ということは「マネジメントの手間を増やす」ということです。
「お金を払っている以上、人材を遊ばせておくワケには行かない」という発想にどうしてもなってしまいます。
そして、「人を動かす」っていうのはとんでもなく労力を使います。【自分1人で1働ける。人を雇った。2人合わせて2にはならないが1.5くらいにはなるだろうと思ったら、1を下回った】という話も枚挙に暇がありません。
それに対して、人件費を出していない場合、なにしろ別に雇ってるわけじゃないので、そもそも
という気持ちが芽生えません。
これは素晴らしいですよ。
マネジメントしないこと、そしてそれが許される関係性、素晴らしいです。
では僕はマネジメントせずに彼をどうするのかと言うと……ほったらかします。
ほったらかしておいても良いのです。だって人件費かかってないんだもん。働かなくて当たり前。働いてくれたら褒める。そういう世界観。
ベーシックインカムの話をしていると、「ほったらかしておくと人は働かないのではないか?」という議論はよく出てきますが、人間は社会性を持った生き物なので、ほったらかしておいても多少働きます。「食費が出てるからちょっと働くか」という引け目もありますし。
みかんくんも主に尺八を作ることに時間を割いていますが、非常によく働いてくれており、食器洗い・料理などを精力的にやってくれていました。
あと、
と聞くと、大抵
と快諾してくれます。
もちろん快諾してくれない時もあります。一度、頼み事をした時に
と言われました。これがもし人件費払ってたらナメとんのかワレ案件なんですが、一円も払ってないので僕は
と、すごく気持ちいい返事ができます。先ほどメリットとして「ギスギスしない」という要素を挙げましたが、それはこういうことです。労使対立がない、と言い換えてもいいですね。
あと、これはあの村のケース特有の事象かもしれませんが「野蛮人が楽しんでたことが顧客価値増大につながる」ということもありました。
あの村では日々、「体験入村」というのをやっておりまして、あの村のサービスを一日ないし一泊二日で体験できる、というものをやっております。各人の興味に合わせて好きなことに挑戦してください、という感じ。
で、先日、体験入村に来てくれた二人組(写真右)が、異様なほどに竹の工作に興味を示しておりまして、特に野蛮人みかんくんの笛に興味を持っていたので、
という話に着地しました。不思議な状況だった。
みかんくんは好き勝手に笛を作っていたのですが、それがあの村として顧客に提供する価値にもなるのです。お、Win-Winだ、と思いました。
野蛮人から見た場合のメリット
続いて、野蛮人視点から見るとメリットはこんな感じ。
- ゼロ円で暮らせる(理論上)
- 遊んでていい
- 労使対立が生まれない
- 山奥の土地を好き勝手使える
- 趣味で、人に喜んでもらえる場合がある
特に解説は不要そうですね。「遊んでていいから」と伝えて、ホントに遊んでていい場所です。
野蛮人制度のデメリット
デメリット、あんまりないですが……
経営者から見た場合のデメリット
- 食費がかかる
- 気が合わないとツラい
- 継続性がない(?)
くらいですかね。まあ「気が合わないとツラい」は完全にただの採用の問題なので、ちゃんと会って話した上で来てもらえれば問題なさそう。
本格的にデメリットらしいものを言えば、「継続性がない(?)」ってことでしょうか。
一ヶ月くらいならともかく、ずっとこの暮らしを続けていくのはサスガにヤバそうという説があります。僕もそんな気もします。
実は、今回のみかんくんは元々23日間の滞在なのですが、今度から新卒で野蛮人になってずっと野蛮人をやるヤツもいるんです。
彼は、ずっと滞在する予定です。
まあ彼も東京で用事がある時は移動したりする、と言ってますが、まあ問題はお金の話ですよね。僕があげるお小遣いなんて一ヶ月1万円とかでしょうし。交通費や交際費はどうするのかという問題があります。
彼がちょっとした収入源を持っておいてくれれば安心できるんですよね。
で、僕はめっちゃ無責任に
と提案し、彼はちゃんとYoutuberになりました……が、あんまり(全然?)伸びてません。
チャンネル登録者数10人……!
Youtubeの新規定によれば収益が得られるのは登録者1000人以上から…!到達度1%や!!
かわいそうだから皆さんチャンネル登録してあげてください!多分だんだん面白くなると思います!
……と、若干話が逸れましたが、まあ「自分で最低限の収入源を持っておく」というのが継続性を保つカギになりそうです。
果たして彼の場合、それがYoutuberなのか、あるいは他の何かなのか、まあ様子を見ていく感じですね!楽しみ!どんな収入源を見つけるのやら!
野蛮人から見た場合のデメリット
- 飽きるとツラい
- 自然が嫌いだとツラい
- 何もないことに退屈を覚えるとツラい
- 履歴書に空白期間ができる(または、野蛮人期間ができる)
- 交際費などにお金を使いにくい
- 感覚がバグる(←new!)
- 継続性がない(?)
まあ、最初の方は妥当なことなので説明不要っぽいのですが、特筆すべきは「感覚がバグる」ね。これは新しい知見でした。
野蛮人のみかんくんがこう言っていました。
電気もあるしネットも使えるし、車で20分出ればコンビニもある。
あの村は十分都会。
あの村は十分都会というパワーワードが生まれました。
これを都会だと感じる感覚…priceless……!
彼が東京に帰った後、どうなるか見ものですね。
「継続性がない」ってのは経営者から見た問題と同じですね。月3万円とかテキトウに稼ぐ収入源を自分で見つけてくれればいいんですけどね。
Youtuberみたいなものじゃなくて、それこそ「尺八を売る」とか「野菜育てて売る」とかそういうのでもいいからね。頑張ってほしいですね。「大麻を売る」は一番楽そうだね。全力で止めるけどね。コンプライアンス大事。
まとめ「野蛮人制度ホントいい。これ皆やろう」
ということで、野蛮人制度を採用してから起こったあれやこれやをまとめてみました。
全体的な印象として「すごくいい。継続していこう」って感じです。
というか、これからの雇用ってこうなっていくんじゃないか的なことも思ってます。
あちこちで「仕事つまんねー」とか「会社やめてえ」とかいう声が上がり、企業は企業で「儲かんねえ」「人件費削減してえ」ってなってますから、これこそが問題を解決する手段なんじゃないかと。
僕個人の所見としては、経営者VS従業員というバトルが発生しないのがとにかく最高です。金払って雇ってると経営者は「人件費分キリキリ働け!」ってなるし労働者は「つまんねー仕事押し付けやがって!」ってなるし、最悪です。
もう一度言いますが、これからの雇用ってこうなっていくんじゃないでしょうか。
そんなことを感じた次第です。
余談- えらいてんちょうとイベントバーエデンを参考にした
ぼんやり懇意にしてもらっているえらいてんちょう(@eraitencho )という男がいまして、今回の野蛮人制度の設計にあたって、彼の手法を大いに参考にしました。
彼が経営しているイベントバーエデンという店には、なぜか住人がいます。
住人は家賃ゼロで店に住んで、何となく皿洗いとか掃除とか手伝ったりしてます。すごくいい関係です。僕も実際そんな住人とふれあいましたが、理想の関係だと思いました。
有りていに言うと、その関係を丸パクリして生まれたのが今回の「野蛮人」制度だったりします。
彼は「ショボい起業」と銘打って、起業の手法をあちこちで発信しているのですが、今回の話に近いのはこの辺かな。
去年、えらいてんちょうと一緒にトークライブもしました。
以上、野蛮人制度についての考察でした!読んで「野蛮人やりたい!」ってなった人は野蛮人求人からお申込みをどうぞ!