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天才・アインシュタインですらも老害になりさがった。人は老いる。

エッセイ

こんにちは。数式は嫌いだが理系の学問をかじるのは大好き、ゆるふわ理系男子の堀元です。

 

僕はアインシュタインが好きです。

中学生くらいの頃に、アインシュタインの素晴らしさを示すエピソードを聞いて以来、ずっと好きです。こんなエピソードでした。

 

「相対性理論について、一言で説明してください」

ある新聞記者が、アインシュタインに言いました。はっきり言って無茶振りです。

アインシュタインの切り返しはこうでした。

「大学で講義を聞いている90分は長い。でも美人とおしゃべりする90分はあっという間ですよね?そういうことです」

 

これほど鮮やかな説明がかつてあったでしょうか。とても素敵なエピソードだと思います。

「時間は絶対的な概念ではなく、観測者の状況によって伸び縮みする」を例え話にしちゃったわけですね。

こんな素晴らしい例え話ができるアインシュタインは、ユーモアと教育者性を兼ね備えた素晴らしい人だったのだろうな、と思いました。

 

さて、そんなアインシュタインに関して、良いエピソードが多すぎて書ききれないくらいなのですが、本日言いたいのは「どんな天才であっても、人は老いる」ということを象徴するエピソードです。

こちらの話を、文系の方でも理解できるように、めちゃくちゃざっくりお話しようと思います。

 

物理の全ての基礎 – ニュートン力学

物理には、力学という分野があります。物の運動を扱う分野ですね。

大体の皆さんは、高校時代に習った記憶があると思います。「斜面を転がる球が……」とか、そんなようなヤツです。

こんなヤツ。見ただけでジンマシンが出る方もいるのでは。

 

あの力学というジャンルを作ったのは、アイザック・ニュートンです。めちゃくちゃビッグネーム。りんご落ちて重力発見した話が有名な人ですね。

ニュートンは1687年に、科学に革命を起こしました。

1687年に彼が書いた「プリンキピア」という本で、皆さんが高校で習う力学をほぼ全部完成させました。

【万有引力の法則】とか【運動方程式】とかそういう言葉を習ったと思いますが、それらは全てこの一冊の本で提唱されております。

したがって、この最も基本的な力学を「ニュートン力学」と呼びます。皆さんが高校時代に習ったのはニュートン力学です。

 

ニュートン力学に終わりを告げるアインシュタイン

それから200年以上、ニュートン力学を基本として様々な研究が行われ、物理学者たちは様々な成果を上げ続けます。

ところが、そんなニュートン力学の間違いを示し、ニュートン力学の時代に終わりを告げたのが、アインシュタインの一般相対性理論です。

 

1916年、ニュートンのプリンキピア発表から230年の時を経て、アインシュタインは一般相対性理論の論文を発表しました。

ニュートン力学は根本的に重力の捉え方を間違っている。斜面を転がる球のような身近な運動ではうまく計算できるが、惑星間にはたらく引力などの巨大な力の計算には失敗する。

という旨のことをアインシュタインは発表します。そして、アインシュタインの一般相対性理論こそが、正しく機能する理論である、と。

これを言われた当時の物理学会の偉い人たちは、激怒して否定します。

 

アインシュタイン
ニュートン力学の間違いを見つけたよ!正しくはこうだよ!
偉い人
そんなワケないだろ!!

これは無理からぬことでしょう。何十年もの研究者人生の間、正しいと信じていたニュートン力学が否定されたのです。到底受け入れられない。

彼が一般相対性理論を発表したとき、全然受け入れられず、アインシュタインは

アインシュタイン
ダメだあいつら。あいつらが死なないと学会は変わらないわ。老害どもが

という意味のことを言ったそうです。

 

アインシュタインは正しかった – 彼は力を持っていく

さて、それから歳月が流れ、実証実験も行われ、アインシュタインの一般相対性理論は正しい、アインシュタインは凄い。そういうムードになってきます。

学会でも、そして世間一般でもアインシュタインはスターになりました。アインシュタインが来日した際、慶應義塾大学で行われた相対性理論の講演は、2000人以上の人を動員したそうです。

テーマが「相対性理論について」という堅苦しいものだったにも関わらず、です。凄いな。俺だったら絶対行かないけどな

 

では、アインシュタインが学会で力を得た後、物理学会は変わったか?

答えは、ノーでした。

 

アインシュタインが力を得た後の学会 – ボーアの出現

アインシュタインの一般相対性理論によって通常の力学は完成し、物理学会の興味は「量子力学」へと移っていきます。

「量子」というのは、ものすごく小さいものを指します。原子とか電子とかそういうものですね。

 

アインシュタインが相対性理論を一人で作り上げたのと同じく、量子力学の基本的なアイデアも、ある男がたった一人で作り上げました。

その男こそが、ニールス・ボーアです。「ボーア」といえば、理系の人間であれば知らぬものはいない、近年の物理学における偉大な研究者です。

 

ボーアの量子力学の基本的なアイデアは「量子は確率的にしか存在しない(状態が1つに定まっていない)」というものでした。

状態が1つに定まっていない、とはどういうことか?

シュレディンガーの猫」という例え話を聞いたことがある人がいるかもしれません。「ある条件を満たした猫は、生きており、同時に死んでもいる」みたいなヤツです。

猫が生きており、同時に死んでもいるという状況、普通は考えられませんよね。我々が見ているマクロ(大きなもの)の世界では、そんなことは起こりません。

しかし、ミクロ(量子1つ分)の世界では、生きている、同時に死んでいる、みたいな状況が発生するのです。

よく分からない人はよく分からないまま置いておきましょう。僕もあんまりピンときてないので深掘りしないでください。

 

さて、このボーアの画期的な説ですが、アインシュタインは許せませんでした。

神はサイコロを振らないという有名なフレーズがありますが、これはアインシュタインがボーアの量子力学を批判して言ったものです。状態は1つに決まるべきだ。確率なんかじゃない!、という意味ですね。

 

ということで、何が起こったか?

ボーア
量子力学の基本となるアイデアを見つけたよ!量子は重ね合わせの状態を取る!
アインシュタイン
そんなワケないだろ!

 

いやいやいや、やってること同じですやん。

かつて自分が嫌った老害たちと同じことを、アインシュタインも後からやっていました。

どんなに革新的なアイデアを持ち出した天才も、結局は人間であり、歳を取るのですね。

 

まとめ – 天才アインシュタインも、老いる

どんな人間でも、歳を取ります。歳を取るほど、全く新しい考え方を受け入れるのは難しくなります。だから、できるだけ若い今の内に、革新的なものを世に出していきましょう。

老いは、僕にもあなたにもやってきます。いつまでも若く柔軟な発想でいたいですが、それは不可能です。天才・アインシュタインですら不可能だったのだから。

 

それでは最後に、アインシュタインの名言を1つ紹介して終わりましょう。

常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションである。 

 

 

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author
Ken Horimoto
堀元 見

インターネットおもしろ雑文オジサンとして生計を立ててます。(性格が)悪そうなヤツはだいたい友達。

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