こんにちは。数式は嫌いだが理系の学問をかじるのは大好き、ゆるふわ理系男子の堀元です。
僕はアインシュタインが好きです。
中学生くらいの頃に、アインシュタインの素晴らしさを示すエピソードを聞いて以来、ずっと好きです。こんなエピソードでした。
「相対性理論について、一言で説明してください」
ある新聞記者が、アインシュタインに言いました。はっきり言って無茶振りです。
アインシュタインの切り返しはこうでした。
「大学で講義を聞いている90分は長い。でも美人とおしゃべりする90分はあっという間ですよね?そういうことです」
これほど鮮やかな説明がかつてあったでしょうか。とても素敵なエピソードだと思います。
「時間は絶対的な概念ではなく、観測者の状況によって伸び縮みする」を例え話にしちゃったわけですね。
こんな素晴らしい例え話ができるアインシュタインは、ユーモアと教育者性を兼ね備えた素晴らしい人だったのだろうな、と思いました。
さて、そんなアインシュタインに関して、良いエピソードが多すぎて書ききれないくらいなのですが、本日言いたいのは「どんな天才であっても、人は老いる」ということを象徴するエピソードです。
アインシュタインが相対性理論を提唱したとき、当時の学会の老害たちは「そんな訳ないだろ!」と相手にしなかった。
30年後、アインシュタインが学会で権力を持った後、ボーアが量子論を提唱し、アインシュタインは「そんな訳ないだろ!」と相手にしなかった。人は老いる。例えどんな偉人であっても
— 堀元 見@あそびカタのプロ (@kenhori2) February 28, 2018
こちらの話を、文系の方でも理解できるように、めちゃくちゃざっくりお話しようと思います。
物理の全ての基礎 – ニュートン力学
物理には、力学という分野があります。物の運動を扱う分野ですね。
大体の皆さんは、高校時代に習った記憶があると思います。「斜面を転がる球が……」とか、そんなようなヤツです。
あの力学というジャンルを作ったのは、アイザック・ニュートンです。めちゃくちゃビッグネーム。りんご落ちて重力発見した話が有名な人ですね。
ニュートンは1687年に、科学に革命を起こしました。
1687年に彼が書いた「プリンキピア」という本で、皆さんが高校で習う力学をほぼ全部完成させました。
【万有引力の法則】とか【運動方程式】とかそういう言葉を習ったと思いますが、それらは全てこの一冊の本で提唱されております。
したがって、この最も基本的な力学を「ニュートン力学」と呼びます。皆さんが高校時代に習ったのはニュートン力学です。
ニュートン力学に終わりを告げるアインシュタイン
それから200年以上、ニュートン力学を基本として様々な研究が行われ、物理学者たちは様々な成果を上げ続けます。
ところが、そんなニュートン力学の間違いを示し、ニュートン力学の時代に終わりを告げたのが、アインシュタインの一般相対性理論です。
1916年、ニュートンのプリンキピア発表から230年の時を経て、アインシュタインは一般相対性理論の論文を発表しました。
ニュートン力学は根本的に重力の捉え方を間違っている。斜面を転がる球のような身近な運動ではうまく計算できるが、惑星間にはたらく引力などの巨大な力の計算には失敗する。
という旨のことをアインシュタインは発表します。そして、アインシュタインの一般相対性理論こそが、正しく機能する理論である、と。
これを言われた当時の物理学会の偉い人たちは、激怒して否定します。
これは無理からぬことでしょう。何十年もの研究者人生の間、正しいと信じていたニュートン力学が否定されたのです。到底受け入れられない。
彼が一般相対性理論を発表したとき、全然受け入れられず、アインシュタインは
という意味のことを言ったそうです。
アインシュタインは正しかった – 彼は力を持っていく
さて、それから歳月が流れ、実証実験も行われ、アインシュタインの一般相対性理論は正しい、アインシュタインは凄い。そういうムードになってきます。
学会でも、そして世間一般でもアインシュタインはスターになりました。アインシュタインが来日した際、慶應義塾大学で行われた相対性理論の講演は、2000人以上の人を動員したそうです。
では、アインシュタインが学会で力を得た後、物理学会は変わったか?
答えは、ノーでした。
アインシュタインが力を得た後の学会 – ボーアの出現
アインシュタインの一般相対性理論によって通常の力学は完成し、物理学会の興味は「量子力学」へと移っていきます。
「量子」というのは、ものすごく小さいものを指します。原子とか電子とかそういうものですね。
アインシュタインが相対性理論を一人で作り上げたのと同じく、量子力学の基本的なアイデアも、ある男がたった一人で作り上げました。
その男こそが、ニールス・ボーアです。「ボーア」といえば、理系の人間であれば知らぬものはいない、近年の物理学における偉大な研究者です。
ボーアの量子力学の基本的なアイデアは「量子は確率的にしか存在しない(状態が1つに定まっていない)」というものでした。
状態が1つに定まっていない、とはどういうことか?
「シュレディンガーの猫」という例え話を聞いたことがある人がいるかもしれません。「ある条件を満たした猫は、生きており、同時に死んでもいる」みたいなヤツです。
猫が生きており、同時に死んでもいるという状況、普通は考えられませんよね。我々が見ているマクロ(大きなもの)の世界では、そんなことは起こりません。
しかし、ミクロ(量子1つ分)の世界では、生きている、同時に死んでいる、みたいな状況が発生するのです。
さて、このボーアの画期的な説ですが、アインシュタインは許せませんでした。
神はサイコロを振らないという有名なフレーズがありますが、これはアインシュタインがボーアの量子力学を批判して言ったものです。状態は1つに決まるべきだ。確率なんかじゃない!、という意味ですね。
ということで、何が起こったか?
いやいやいや、やってること同じですやん。
かつて自分が嫌った老害たちと同じことを、アインシュタインも後からやっていました。
どんなに革新的なアイデアを持ち出した天才も、結局は人間であり、歳を取るのですね。
まとめ – 天才アインシュタインも、老いる
どんな人間でも、歳を取ります。歳を取るほど、全く新しい考え方を受け入れるのは難しくなります。だから、できるだけ若い今の内に、革新的なものを世に出していきましょう。
老いは、僕にもあなたにもやってきます。いつまでも若く柔軟な発想でいたいですが、それは不可能です。天才・アインシュタインですら不可能だったのだから。
それでは最後に、アインシュタインの名言を1つ紹介して終わりましょう。
常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションである。
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