こんにちは。あの村という月額会員制村作りサービスを運営しております。堀元です。
いやあ、それにしてもインターネットって本当に面白いですよね。面白いコンテンツが無限に落ちていて、毎日楽しすぎて死んでしまいそうです。
で、僕が気に入らないのは、世間で騒がれてるコンテンツは常に一部ってことです。
ARuFaくんとか…
やれたかも委員会とかね…
いや、面白いんですよ!面白いんですけど、天邪鬼な僕は、世間にまだ評価されてないけど面白いものを見つけるのに快感を覚えるのです。
さてさて、今日は、めっちゃ面白いのに世間にそんなに知られてない文章をまとめてみたいと思います。
アフリカの村で70万円盗まれたら、いつの間にかあたり一帯がバブルにわいていた
元記事はこちら。
アフリカの村で70万円盗まれたら、いつの間にかあたり一帯がバブルにわいていた
Books&Appsを読んでいたら、偶然サジェストされて出てきた記事。
タイトルがちょっと気になったので読みはじめてみたら、めちゃくちゃ面白いじゃないですか。
アフリカの小さな集落は70万円の外貨が流入しただけでバブルになるんだという気づきもありつつ、本文もずっとすごい。カルチャーショックの塊です。
実は、その頃は現地モザンビークの感覚にもある程度慣れていて「知らぬ間にお金が減っている」ということはよく経験していました。
店などでモノを買った後にお釣りが足りなかったりすることは、実は日常茶飯事です。
最も驚いたのは銀行でお金を引き出した時、目の前で行員さんがちゃんとお札を数えて確認したにも関わらず、後で確認したら明らかに少なくなっていたことです。
とにかく、気を抜くとすぐお金が減るのです。
と思いながら読み進めます。
その後、ひとまず警察にお手伝いさんを引き渡しました。
普通に考えると、ここから法の裁きを受け、さらに盗んだお金を返すということになります。
しかし、警察の方が言うには
「今後これを犯罪として立証するための証拠集めや裁判をするにはあまりにも時間と労力ががかかる。警察に「活動費」なるものを支払わなければ、捜査もできない」
とのこと。
そう言えば、その時期その飲み屋でよくビールを現地の皆さんから奢られていたんですよね。
ビールはモザンビークでは高価なのです。
普段は現地の人にこちらがビールを奢ることが殆どだったのですが、その時期急に周りの人からビール奢られていたのです。
あ、それオレのお金だったのか。
と気づきました。
我々は、ついに真相にたどり着いたのです。
つまり自分たちはカモになっていたというか、この一帯の人々はおそらく、お手伝いさんがゲットしたお金のことをうすうす知ってたわけです。
お手伝いさんは大金を奔放に使っていたため、いつの間にかこの周辺の人々を潤してました。
ちょっとした集落に4,5千万円のお金が降って湧いたようになってるわけですから。我が街にバブル到来って感じです。そりゃビールだって奢りたくなりますよね。
通貨の供給量を増やすと、バブルを起こすことができるのです(笑)
とにかくすげえなあ…。日本でのんべんだらりと暮らしている僕からは想像もつかない世界観です。
あまりにも面白かったので、記事の情報を細かくチェックしてしまいました。
著者欄には、日本植物燃料株式会社広報部という謎の記載。何だこの会社。
他の記事も読んでみましたが、どれも面白い。
「アフリカの呪術師」と全面対決するため、電子マネーを導入した話。
もうタイトルがずるいよ。絶対面白いもん。
こちらも、印象的な部分を本文から抜粋。
店舗の運営は現地の人に任せてはいますが、最終的な数字の管理は全て日本人スタッフがやっています、ところが月ごとに棚卸しし、帳簿と現金をつきあわせると毎回必ず3割くらい、現金が足りないのです。
毎回合わず、しかも絶対に現金が少ない側に合わないのです。もし、計算が不得意だって言うのならば、たまにはプラスになってもいいのですが、とにかく必ずマイナスの方向に合わないのです。
人を疑いたくはないですが、もちろんそれは現地でスタッフに確認します。
「なぜ現金が足りないのか?」と。
現地スタッフの話はこうでした。
「私は、電卓を持っているので計算違いなんてしないから、絶対に私のせいではない。私が思うにこれは妖精のせいじゃないかと思う。
あなたのやっている商売は今とてもうまくいっている。「電気」を扱える店がほかにないからだ。でも、アフリカの人というのは妬みの文化なんだ。だから、この店を妬んでいる人たちが、悪い黒呪術師に頼んで呪いをかけている。
呪いがかけられると、豆粒みたいになった妖精が店の中に入ってきて、お金を持って行く。だから、お金が減っている。」
………。
「お、おう……。そうか……。」
さらに
「対抗できる白呪術師を知っているから、紹介しようか?」と聞かれましたが、丁重にお断りしました。
金パクられ過ぎじゃね?という気もしますが、臨場感たっぷりですね。アフリカでビジネスやるならまず戦うべき課題は窃盗のようです。
一撃でファンになってしまいました。
こんなに面白いコンテンツなのになぜ在野に埋もれているのか全く分からない。
余談ですが、面白かったのでツイートしたらめっちゃ伸びました。
めちゃくちゃおもしろかった。そうか。アフリカの一集落程度なら、70万の外貨が流入しただけでもバブルになるんだ。
アフリカの村で70万円盗まれたら、いつの間にかあたり一帯がバブルにわいていた。 https://t.co/uukxjHqkmt
— 堀元 見@あそびカタのプロ (@kenhori2) October 19, 2017
「世間に知られてないけど、面白い」コンテンツの情報を発信するとツイート伸びますねえ。
乾燥機付全自動洗濯機みたいな女
元記事はこちら。
乾燥機付き全自動洗濯機のようなCAと結婚する若いドクターの話
一年前に投稿されたこちらの記事を読んで以来、すっかり目を離せなくなりました、雨月メッツェンバウム次郎さんの記事。
これも、cakesの連載を適当に読んでいた時に偶然見つけました。
cakesの有料アカウントを持っていないと全文が読めないと思いますので、本文の要旨を以下に書きます。でも本文の筆力が凄いので、できれば有料アカウント取って下さい。一週間は無料お試しできます。
(以下、堀元要約)
若い医者、そしてその若い医者と結婚するCAと知り合いになった。
このCAは驚くほど「人生設計のデキる女性」で、何と高校生の頃から「私はCAになって医者と結婚する」と周りに公言していた。
※昔から経済的に苦労しており、その過去から、このような人生設計に至ったと思われる。医者の世界の仕組みや、医者が収入を増やすための勝ちパターンもよく理解しており、夫を成功させる設計も既に完璧に終わっている。
一方、夫となる彼は、いかにも世間知らずの世襲の医者で、大人しい男だ。
彼はきっと、妻の完璧な人生設計と計算の下で、裕福な人生を送るのだろう。それはきっと、悪くない人生だ。
でも幸せなのかどうか、私には分からない。少なくとも彼の人生を、私は歩めない。
ものすごくリアルな人物描写と共に、幸せとは何なのかを強く突きつけられる名文です。
本文タイトルにもなっている「乾燥機付き全自動洗濯機」というフレーズが出て来るところが本当に素晴らしいので、丸ごと引用。
きっと彼女は人生設計をこんな風にしてきて、CAになり医師の妻になった。
さらに設計は続き、その通り生きて行くのでしょう。
そして出産や子供の教育、親の介護、大病などいくつものタスクをきちんきちんとこなし、しかるべき年齢にしかるべき病気で死亡し、ちゃんと準備していたお墓に入るのでしょう。
まるで彼女は乾燥機付き全自動洗濯機だ。最近流行りの、すすぎ、本洗い、脱水、乾燥までがボタン一つで出来るこのマシーンは、汚れた洗濯物を入れれば綺麗になって乾いて出てきます。
彼の人生はひとたび彼女とともに歩めば、あっという間に墓場まで自動運転。
こんなしっかりしたCA、いかにもいそうですね。
そして、こんなCAとドクターの人生もいかにもありそうだ。
きっと、ありふれた二人なのでしょう。ありふれた二人の人生はきっといわゆる”幸せ”に満ちたものになるのでしょう。
雨月メッツェンバウム次郎氏と同じく、僕にはそれが幸せかは分からないし、その道を選択できないです。
自分とは全く違う人生に、思いを馳せる名文。
マンションポエム徹底分析!
元記事はこちら。
僕が中学生の頃からずっと大好きなメディア、デイリーポータルZの、デイリーポータルZらしい記事。
ニッチ過ぎて分かりやすくはないんだけど、圧倒的な面白さ という記事です。
冒頭でいきなり、著者の至極のマンションポエムコレクションに笑い、
その後に、著者がこれまでに収集したマンションポエムを分析し始めます。
人工知能の手法を駆使して、10万文字以上のマンションポエムをデータ分析するというガチっぷり。
首都圏と関西の違いや、どういった単語の組み合わせが多用されるかなど、あらゆる側面からマンションポエムを分析していきます。
めちゃくちゃ面白い。
そして、最後には「タワーマンションとは本質的に、垂直方向に伸びた理想の郊外住宅なのである」という非常に納得感のある結論に達します。
この辺、著者の豊富な背景情報を含めて非常に面白いので是非元記事を読んで頂きたい。
エンパイアステートビルで会いましょう
元記事はこちら。
電通を退職された田中ひろのぶさんの連載記事。ひろのぶ雑記はどれもめちゃくちゃ名文ですが、僕が特に好きなのはこれ。
ひろのぶ雑記の魅力は、笑わせに来る文章なのかなと思いきや、心に迫る着地ということです。彼の筆力のなせる技。
この文章も、クスッとくる軽妙な文章で始まります。
また、世界一景気がいい日本に、たくさんの外国人労働者が集まってきていた。私のトラックにも、荷物の積み降ろしの補助のためにいろんな国籍の人が乗ってくれた。最初は、モハンマド君というイラン人だった。出稼ぎのイラン人はみんな上野で大麻を売っているというのは偏見である。とてもまじめな留学生だった。
ところが、運送会社の社長が、なにも考えずに加えて雇ったのはイスラエル人だった。出稼ぎのイスラエル人はみんな原宿で露天商をしているというのは偏見である。とてもまじめな留学生だった。
しかし当然というか、社長のなにも考えてないぶりは軋轢を呼んだ。同じ会社の中では、アラブ人とユダヤ人はそんなに仲良くなれないのである。毎日、なんとなく険悪な雰囲気になる。イスラエル人が辞め、イラン人も辞めると言い出した。
こんな調子で笑い話かなと思いきや、意外にも青春譚の描写に変わっていきます。
キムさんの口癖は、「エンパイアステートビルで会いましょう」だった。タナカさんも成功する、ワタシも成功する、そしてこの酒瓶置き場を抜け出して、ニューヨークで再会しましょう。そんなキムさんも私も、アメリカになど行ったこともない。
そして着地点は、とても素敵。
別れ際、キムさんはやっぱり「エンパイアステートビルで会いましょう」と言って私の手を握った。
それきり、キムさんとは会っていない。
成功した貿易商でなくていい、たとえばエンパイアステートビルの守衛になったキムさんと、失業者の僕でいい。いつか必ず展望台で再会する。そんな映画のワンシーンみたいな日が訪れることを、願っている。
ひろのぶさんの人柄が全開に出ていてとても素敵な文章です。
そして、僕もこういう、ちょっと悲しいような、いつかまた会えたら素敵だなっていう別れを何度かしてきていて、すごく共感しました。
きっと、皆どこか少し共感すると思う。
誰の人生にも、キムさんはいる。
そのしょぼくれたアパートを引き払って、店に住め!【えらいてんちょうの起業論】
元記事はこちら。
そのしょぼくれたアパートを引き払って、店に住め!【えらいてんちょうの起業論】
かねてからお世話になっているえらいてんちょう(@eraitencho )の記事ですが、ホントに起業の本質を捉えていて素晴らしい。
ジャンジャンお金を使ってちゃんと商売するのではなく、普通に住んでいた家賃を、店を借りるのにアテる、という発想。これなら絶対失敗しません。
以下、記事の内容を一部引用。
【商材なんてなんでもいい、店あけてりゃ家賃くらい売り上げられる】
最初は1円も売り上げる気がなくて、家じゃなくて店借りたら面白くない、というノリで借りた店舗、謎に売り上げがあがります。うちからもってきた服とかが、1着100円で売れまくります。わけがわからない自宅に服をおいておいても売れないのに、店を自宅にしたら服が売れた。家賃の足しになる!と喜んでましたら、わけのわからないものがいっぱい売れて、初月には40万円くらいの売上がありました。
意味不明過ぎてウケます。同じ家賃なら家より店借りたほうがいいだろ→おっ、ちょっと売上がある!家賃浮く!→むしろそれだけで生活できるくらい儲かった!です。なぞですね。
スモールビジネスやる人全員に言っておきたいのは、「成功のコツは経費削減。売上を上げることではない」ということです。
経営者になってから認識した事実ですが、人は経費を湯水のように使おうとします。事業のためならジャンジャンお金を使っていいという思い込みがあるようです。
弊社のような零細企業は当然カツカツなのですが、従業員達は次々に「この備品、あった方がいいと思うので買っていいですか」とか「ちょっとこれ勉強したいので本買っていいですか」とか言ってきます。ダメです。
「どちらかといえばあった方がいい」くらいのそこそこ値段のする備品など買ってられません。必要不可欠なものだけ買いましょう。
「ちょっと勉強したい」なら図書館で借りてきて下さい。そんな感じ。
スモールビジネスにおける経費削減の大切さを日々痛感しつつ、えらてんの文章が身にしみます。
本質を捉えた短く乱暴なフレーズが持ち味のえらてん、ホントに面白いです。スモールビジネスしたい人は彼のショボい起業論は抑えておきましょう。
まとめ
以上、ネットで読める、世間にそれほど知られてないけど吐くほど面白い文章のまとめでした。
インターネット、ホントに楽しい。
皆さんも、知られてないけど面白い文章がありましたら堀元見のTwitterまでご連絡下さい。