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むだそくんについて

オープンだと疲れませんか?と、地域おこし協力隊の彼女は言った。

人生

僕の友人に、Yさんという地域おこし協力隊の女子大生がいます。

先日、久しぶりに彼女と話してきました。

 

Yさんは非常に頭脳明晰、礼儀や一般常識もものすごくちゃんとしていて、初めて会ったときに

堀元
こんなにちゃんとした大学生この世にいるの!?

と、びっくりさせられたような、非常に完成された大学生です。

 

さて、そんな訳で僕はYさんのことが大好きでして、今回も色々話しました。

興味深かったのは、Yさんの悩み相談。その悩みについて今日は書いてみます。

 

悩み〜オープンなマインドを持つということ

私、今悩みがあって…
堀元
ほう。何に悩んでるの?
オープンなマインドを持つことに疲れる、という悩みです。

私は地域おこし協力隊として色んなものを手がけてて、いつもオープンなことをやってます。住み開きシェアハウスの管理人とかもしてます。

でも一方で、ちょっと疲れたり、限界を感じたりするんですよね。クローズドな集団で何かをやるほうが楽しいって思ったり、品質を上げるためには何かの共有言語を持った人だけを集める方が良いのかなって思ったり。

堀元さんって常に自分を開示してオープンにしているし、それって疲れたりしないのかな?クローズドでやりたくならないのかな?と思うんですよ。

オープンマインドを持つことに対してどうお考えですか?

堀元
(こいつ悩みのレベル高え…!!!)

そんな訳で、普段僕が大学生から相談される悩みとは12段階くらいレベルの違う質問が出てきて驚愕しました。

やりたいことがないんですよね〜、とか、何かテキトウに就職していくと将来が不安なんですよね〜、とか、クソみたいな質問をしてくる大学生は彼女の爪の垢を煎じて飲めば良いと思います。

 

堀元回答

僕の答えは、こんな感じでした。

クローズドな方が楽しくなりやすいのは多分ホント

その悩みと感覚はすごく的を射ていて、素晴らしいと思う。

仰るとおりで、オープンとクローズドのバランスはかなり難しい。

僕は、基本的に常にイベントもオープンにしているし、自分の情報も可能な限りオープンにしている。誰でも受け入れられるようにしている。

でもねえ、これだと確かに提供できる面白さにちょっと限界があるんだ。

人が主体的に何かを行える環境とは、安心できるコミュニティなんだよね。

むだそくん
ここでならちょっと何か変なこと言っても大丈夫だな

とか

むだそくん
やってみて、失敗しても大丈夫そうだ!

ってことを思ってから、人は初めて動けるようになる。

 

さて、オープンなイベントで、これを実現するのは非常に難しい。

飛び込んで来た人にとっては、「周り全員が知らない人」という状態になる。

これは安心できるコミュニティとは程遠い。

上手にアイスブレイクをして、上手にコミュニティになるようにけしかけたとしても、すぐに十分な安心感を与えることはできない。

だから、参加者が主体的に動いて何かを掴み取った!みたいなイベントの喜びを味わうのは難しいね。

受け身にさせておくんだったら、安心できるコミュニティはなくても良いんだけど、僕やYさんの目指す顧客満足は多分受け身じゃなくて、参加者が主体的に動くことの中にあるよね。

そういう意味で、「ああ、クローズドの中で何かやったほうがいいじゃん!」ってなるのはすごく分かる。僕もそう思ったこともある。

でも多分、オープンの中にも解決策があるんだ。

 

1つの解決策は「長く、少なく」

僕が自分に対して、イベンターとしての限界を感じるのは、人数を集めることにあまり興味がないことだ。

去年、フリーランスになりたての頃は、

堀元
イベンターは人集めてなんぼでしょ!

くらいに思っていたけど、僕は少なくともそれが楽しかったり得意だったりするタイプではなかった。

それよりもむしろ、皆の顔を見ながら、密にコミュニケーションを取りながらやれる、少人数の企画が好きだった。その方が顧客満足度を高められるのも分かってたし。

だから、僕はある時期から「長く、少なく」を意識し始めた。

オープンな集団の中で、さっき話した「安心感のあるコミュニティ」を作るための一つの答えがこれだ。

昨年の7月にあの村で「二泊三日で家を作るワークショップ」というワークショップをしたんだけど、これが最高に面白かったんだよね。

参加者は8人で、二泊三日ぶっ通しで色々議論しながら思いつきで家を作っていくワークショップだった。

 

最初は全員初対面で、やっぱり安心感のないコミュニティだったんだけど、2日目にはもうかなり打ち解けていて、皆がどんどん自分の意志を主張するようになっていった。

オープンにして集めた即席メンバーでも、少人数でじっくり時間をかければ、十分に安心感のあるコミュニティにできる。

だから、僕は一つの答えが「長く、少なく」であるように思う。僕やYさんが企画で成功させようとしていることは、この「長く、少なく」と相性がいいよ。

 

そして、僕はずっとそういう感じでやっていたのだけれど、もうちょっと過激なことも最近はよく考えているよ。

 

2つ目の解決策、「社会全体を安心感のあるコミュニティにする」

そもそも、「知らない人がたくさんいる状態」がなぜ「安心感のあるコミュニティ」じゃないんだろう?

僕は最近、知らない人がたくさんいるから、しゃべりにくいみたいな状態が本当にダサいと思うようになった。

 

明石家さんまさんの、免許更新講習の話を聞いたことある?

 

明石家さんまさんは、とにかくおしゃべりマシーンだそうだ。

免許の更新の際に、講師の話に一つ一つ相づちを打ち、「夜間の運転で一番気をつけることは何ですか?」みたいな全体への質問には逐一答えるらしい。

 

これは、さんまさんが、社会全体を安心感のあるコミュニティとして捉えていることを意味する。

彼は多分、居酒屋で気心の知れた友人と話すのと同じ感覚で免許更新講習を受けている。

そして、電車で隣り合っただけの人にも、友人と話す感覚で話しかけられるんだと思う。

 

ここで一つ、思考実験をしよう。

もしこの日本に住む人が全員、明石家さんまさんだったとしたらどうなるだろう?

きっと、Yさんの言う「オープン」と「クローズド」の境界は限りなく曖昧になる

オープンに集めた人も、安心感のあるコミュニティの中での振る舞いをするから、主体的に動いてくれるし、失敗もしてくれるだろう。

オープンとクローズドの違いはほとんどなくなり、誰もが、場所によらない自然な振る舞いをするようになる。

 

僕がひたすらオープンなイベントをやり、自分をオープンにしているのは、この理想郷に向かっているからなのだと思う。

そもそも、クローズドとオープンが分かれるのはダサい。皆が全員、社会に対して安心感を持てるようになればいい。

最近はそう思うようになった。

 

理想郷を目指して、オープンであり続ける

そんな、社会全体が安心感のあるコミュニティであることを目指して、僕はオープンでありつづけようと思う。

僕が思い切り、社会全体が安心感のあるコミュニティだという振る舞いをすることで、皆も少しずつ気づいていくんじゃないかな。

あっ、知らない人ばかりの集団でも、気楽に振る舞っていいんだ!と。

そして、そんなことを考えていると、オープンなマインドで過ごすことに違和感はなくなる。思想に裏付けられると、自分のやっていることの意味が見えやすくなるから。

 

まとめ

そんなような長い回答を伝えると、Yさんは納得したような、してないような感じでした。

きっと、このテーマについては僕も彼女も、ずっと向き合っていくしかないんだろうと思います。

オープンであるとはどういうことなのか、理想の企画とは何なのか。

 

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author
Ken Horimoto
堀元 見

インターネットおもしろ雑文オジサンとして生計を立ててます。(性格が)悪そうなヤツはだいたい友達。

最近の主な収入源はnoteの有料マガジン『炎上するから有料で書く話』です。記事が面白かったら投げ銭がてら購読してください。

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