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むだそくんについて

夢の選び方に悩んでいた高校二年生に、僕は「どれでも大差ないよ」と答えた。

人生

僕はインターネットを通して、人生相談を時々受けます。

生来、

堀元
皆自分なりに生きていたら良いんじゃないの。自分の人生なんだから自分で決めようよ

と思っているタイプの僕に人生相談がやってくるとは皮肉なものです。

で、いつも大体テキトウに返事をしているのですが、今日もらった人生相談にはなぜかマジで回答してしまいました。

高校二年生から、実に1000文字を越える人生相談メールでした。

 

人生相談

突然のご連絡失礼します。僕は◯◯県の高校に通っている高校2年生です。

最近堀元さんのブログを知って勉強の合間に楽しく拝見しております!

堀元さんは人生を存分に楽しんでおられている一方で早稲田大学という高学歴な持ち主なのでこの度進路のご相談があってご連絡させていただきました。

僕は中学校の時ずっとだらけていました。仲の良い友達と遊び、勉強なんでどうでも良い。そんな生活をしていました。そして進路決定が迫らせた時、僕はてきとうに大学に行けそうな付属大学がある私立の高校(専門学科)にほぼ勉強しずに進学しました。

勉強していないとは言えど、定期試験対策などはしていたので理系科目は偏差値50くらいあったので私立推薦ということもあり楽に進学して、これで楽に大学に進める!エレベーターだー!などとのんきになっていました。

しかし、高2の終わり頃に他校に好きな人ができました。
その人は幼稚園の頃の幼馴染なのですが、僕に「数学得意そうだね!」と言ってくれました。
(実際は大の苦手です…)

僕はその人の期待に応えなければ…という思いでがむしゃらに1日3時間くらいほぼ毎日勉強しました。

その結果、2年の学年末テストではいつも40点くらいの数学が数II100点、数B96点に跳ね上がりました。

僕は思いました。俺ってやればできるのかな?

同時に勉強する楽しさにも気づけました。
そして、中学校の頃ちょっとだけ夢だった難関大学進学という強い思いがまた蘇ってきました。
今は勉強しなかった自分がまるで嘘みたいに勉強しています。

しかし、僕は専門学科なので受験に必要な科目の単位数が少ないです。そんなこともあり、生徒会までやらせて頂くほど高校は楽しいですが、高校を退学して大検を取得して浪人生並みに勉強しようと計画しました。
親には了承を得ることができました。
高校退学、大検受験は僕の人生においての大きなステージだと思っているのでこれはもう揺らぐことはありません。

将来な夢はたくさんあります。
成績が悪い人の逆転合格をサポートする個人塾を経営してみたい。
堅いイメージを壊すような面白い医師になりたい。
経営コンサルも受け持つ弁護士になりたい。
堀元さんみたいに面白くて賢い大人になりたい。

それに向かって勉強する覚悟はできています。
ただ、夢がなかなか定まりません。

医師となれば医学部。
しかし、医学部に入れば他の夢は全て消えてしまいます。

弁護士となれば法学部。
そうなれば医師にはなれません。

毎日いろいろ悩んでいます。
正直、勉強して成績が上がっていっているので楽しいですが、その反面夢が多過ぎて何に向かって勉強しているのか曖昧で苦しいです。

夢を1つに絞った方が良いのか。
僕はこの先なにを目指せば良いのか。

夢の選択方法を教えてください。
お忙しいとは思いますがよろしくお願いします。

 

どうですかこのメール!?すごく良いと思いませんか?

高校生らしい素直さと、茫漠とした人生への不安、そして何者かにならないといけないという焦り。

スパイスとして「好きな子に褒められたから」という理由でガムシャラに勉強してしまうかわいさ。

100点満点の人生相談メールです。皆さんも誰かに人生相談する時はこういう文章を書きましょう

ちなみに、僕は早稲田でなく慶應を出ているのですが、このミスもかわいい

 

ということで、全力で回答してみました。

 

堀元回答

こんにちは。堀元です。

連絡ありがとう。君のような将来について主体的に考えていて、そして恐らくは素直で聡明な高校生にブログを読んでもらえること、相談してもらえること、誇りに思います。

高校を退学して大検を取ろうという決意、本当に素晴らしい。

世の中の99%の高校生がぼんやり進路について考えてぼんやり卒業していく中で、それだけ主体的に動ける君なら、きっと人生をしっかりデザインしていけると思う。

 

今回の相談は夢の選び方ということだけど、僕なりのアドバイスをさせてもらおう。

どれを選んでも大差ないから、思い切り考えて一つ選んでみなさい

きっと君はこれから色々なことを学び、経験し、その度にものの見方や考え方は変わる。

だから、今出した結論は絶対にコロコロ変わっていく。

僕は今年25になったけど、夢についての結論は、この一年間でまた少し変わった、これからも少しずつ変わり続けていくと思う。

僕よりも8個年下の君の夢は、もっとずっとコロコロ変わると思う。それでいい。

 

君は、「医学部に行ったら弁護士になる夢は叶えられなくなる」と思ってるみたいだね。

そんなことはないよ。

例えば君が医学部に行って、本気で医学を学んでみたら、2年間で「あれ…これ違うんじゃないか。全然面白くない」と思うかもしれない。

そんな時は、何も気にせず大学を辞めよう。

自分のやりたいのは本当は法律家だった!って気づいたなら、医学部はやめちゃえばいい。そこから法律を学び始めればいい。

こんな無責任な意見を聞くと、君は、

  • 学費がもったいない!
  • 社会人になるのが遅くなってしまう!

とか、色んなことを思うだろう。

でも違うよ。既に払ってしまった学費とか、既に学んでしまった時間とか、そういう過去に使ってしまった資源(これを「サンク・コスト」という)のことは気にするべきじゃない。

実際、多くの人が「ここまで頑張って働いてきたから、今更会社を辞められない」みたいに、サンク・コストに人生を奪われているんだ。

 

聡明で、人生についてちゃんと考えている人は、人生設計の心配をしなくていい。

  • 大学を中退してまた新しい大学に入り直したとしても、大学生をやりながら、お金を稼ぐ方法はある。
  • 社会に出るのがどんなに遅くなっても、それまでの人生を活かして十分に活躍できる職場がある。

だから、【大学・学部の選択】を一生ものの選択だと思わないでおいて欲しい。君のメールを見て僕が一番気になったのはそこだった。

僕が見てきたたくさんのつまらない大人みたいに、サンク・コストに人生を潰されないようにしよう。

君の人生の決定権は、いつまでも君の手元にある。

17歳の君の決断は、17歳の君の決断にすぎない。20歳の君が違う決断を下すなら、また別の人生を決定できるんだ。

 

ちなみに僕は、大学1年生から大学3年生まではずっと、【日本の教育を変えること】もっと詳しく言えば【文科省の指導要領から座学を消して、体験型の学びだけにすること】を人生の夢にしていた。

そのために、教育系のアルバイトをして、教育系のボランティアをして、教育系企業の立ち上げを手伝っていた。

でも今の僕は、全く関係ない娯楽作りの仕事をしている。今の夢は【新しい文化を作ること】だ。

人によっては、教育のことばかり考えていたこの3年間はムダだと感じるだろう。

でも、僕の3年間はムダじゃなかった。教育業界の構造や、新興企業がどんな風に商材を売っているか、そしてこれからの教育業界の動きは、実際3年間働いて、ようやく見えてきたことだった。

この3年間があったから、僕は【教育を変える】という夢をやめられた。もちろんそこには絶望もあったけど、振り返ってみれば面白かったし必要な経験だったよ。

 

17歳の君がめちゃくちゃ頭を絞って考えても、何年か後には、きっとまた色々と違う発想が出て来るだろう。

大なり小なり、夢は変わっていく。それは何もおかしいことじゃないし、変わっていく夢に、上手く乗りこなせるようになろう。

君が絶対避けるべきことは、【間違った進路を選ぶこと】じゃない。【サンク・コストを気にして、やりたくもないことをやり続ける大人になる】ことだ。

だから、間違っているかもしれないけど、とにかく今死ぬほど考えて、一番良いと思える夢をとりあえず選びなさい。

そして、それを本気でやってみなさい。いつか選択の間違いに気づくかもしれないけど、そんな時はまた選択をやり直そう。一度間違った君は、きっと今より上手に夢を選べる。

 

ちなみに、「あれもこれもできるように、なるべく可能性を狭めないで勉強しておこう」みたいな中途半端な選択はオススメしない。

自分の夢は一つしっかり選んで、それに向かって一生懸命戦うべきだ。そうじゃないと、「あ、これは僕の本当の夢じゃなかった!」と気づくことができなくなる。

 

以上、偉そうに喋ってしまったけど、もう一回だけ繰り返すと、僕の結論は

どれを選んでも大差ないから、思い切り考えて一つ選んでみなさい

だ。少しでもお役に立てば幸いです。

高校二年生にして、自分の人生を本気で考えている君を尊敬します。僕が高校二年生の頃は、ゲームセンターでいかにハイスコアを叩き出すかということばかり考えていたからね。笑

君の人生が柔軟で美しいものであることを、心から祈っています。

大学に合格したら、いつか一緒にお酒でも飲みに行きましょう!

 

追伸

最後に一点だけお伝えしておくと、「こういうメールを出す時は、まず自分の名前を名乗るのがマナーだ」ということを覚えておくといいね!

メールの文章を読んだ限り、君はとても良い奴だし、頭も良いと思うのだけれど、こういう基本的なマナーができていないせいで機会損失につながってしまうことがあるから、基本的なマナーをしっかり認識しておくのをオススメします!

 

まとめ

楽しい回答時間でした。

人生相談の回答って、基本的には「どうでもいいなあ…」と他人事として答えるんですが、今回の「夢の選び方」くらい一般化された議論だと、とても楽しく論じられますね。

そして、今回の僕の回答、高校生の進路選びの目安としては結構正しいんじゃないかなと思います。

ホントに一番マッチョなことを言えば、

  • 高校なんて行かずに実際に気になる業界の現場が見えるような場所に直談判してボランティアで働かせてもらえ!
  • 死ぬ気で働きながら業界の問題点やその仕事の特徴についてめちゃくちゃ分析しろ!
  • 自分に本当に適性があるか、大好きな仕事として働けるかを吐くほど考えろ!
  • そして、はっきり結論が出たらその仕事のために受験勉強を始めろ!

ってな感じになるんだと思うのですが、これはいくら何でもマッチョ過ぎる。

多くの高校生はここまでの能力や体力を持ち合わせてないでしょう。僕が高校生の頃にこんなことを言われてたら発狂していました。

 

実現可能なスタンスとしては、【とにかく一旦めちゃくちゃ考えて、とりあえず出た結論をベストだと信じて進む。ダメならすぐ軌道修正する】くらいかなと。

よろしければ皆さんも、進路選びの参考にして頂けますと幸いです。

 

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author
Ken Horimoto
堀元 見

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