先日読んだ「エッセンシャル思考」の中の「ジャーナリズム」に関するエピソードが非常に勉強になったので、引用します。
要約の授業
ビバリーヒルズ高校の「ジャーナリズム入門」という授業で、課題が出たそうです。
課題文
ビバリーヒルズ高校のピーターズ校長は今朝、職員一同に研修旅行の知らせを告げた、来週木曜、職員全員でサクラメントへ行き、新たな教育メソッドに関する会議に参加する。当日は人類学者のマーガレット・ミードや教育学者のロバート・M・ハッチンズ、カリフォルニア州知事のバット・ブラウンによる講演も予定されている
生徒の回答
マーガレット・ミード、ロバート・M ・ハッチンズ、ブラウン州知事は、教育会議に参加し…
というダメ出しを受けたそうです。
では何が正解なのでしょうか?ちょっと考えてからスクロールして下さい。
…
正解
来週木曜は学校が休みだ。
この話、シビレませんか?
僕は感動しましたし、情報発信に関係する人は全員胸に刻んでおくべきだと思います。
ジャーナリズムとは、核心を見抜くこと
このエピソードの後、本書はこう続きます。
ジャーナリズムとは、単に事実を繰り返すことではなく、核心を見抜くことだと気づきました。いつ誰が何をしたか、それだけでは足りません。それがどういう意味を持ち、なぜ重要なのかを理解しなくてはならないんです
ジャーナリズムとは、核心を見抜くことなのです。
これは何もジャーナリストだけでなく、情報発信する人全てが理解していなければなりません。
ただ情報を羅列することに価値はなく、核心を見抜いて伝えなければいけません。
ジャーナリズムを、ほとんどの人は理解してない
このことを多くの人は理解していないのです。
だから瑣末な情報を多く入れてしまい、何となくブレブレな話をしてしまう。
「今自分は何を伝えたいのか」を見失ってしまうのです。
僕のジャーナリズムの本質は「面白さ」
僕はかつて、Wikipedia「地方病」という項目について、まとめたことがあります。
このページは、人類と奇病の戦いの歴史を描いた傑作ページです。人間ドラマもふんだんにあります。
このページ自体も、まさに素晴らしい「ジャーナリズム」によって作られたものです。100年以上にも及ぶ人類の戦いですから、情報をごちゃごちゃ書いていてはとても読めたものではありません。
ただし、このページは「地方病」について学びたい人やじっくり読む覚悟ができてる人用のものであって、気軽に読む感じではないのです。
という思いで作ったのが以下の記事です。元々のジャーナリズムで生まれた記事を、更に僕のジャーナリズムで再編した訳です。
この場合の僕のジャーナリズムの本質は、「面白さ」でした。めんどくさい情報は全部切り落として、読みやすくて面白い記事を目指しました。
自分で言うのもなんですが、この記事はその本質を見失わず、上手く書けたと思います。
元のページの100倍読みやすいし、面白さは損ねていない、と思っています。
たくさんのご好評も頂きました。
読み入ってしまった…笑 | ウィキペディアの「地方病」が面白すぎるので読みやすくまとめました https://t.co/o579cvqcX1
— ルピズ (@rupizul) August 31, 2016
僕は情報を分かりやすく伝えるのが好きなのですが、特に「面白さ」を軸に伝えるのが好きです。
この記事ではそれを体現できたような気がします。
ジャーナリズムが体現できていない例
実は、この記事を書く前に、
と思って、他に書いている記事を探しました。
すると案の定、他にも何件か「地方病」をまとめたブログを見つけましたが、彼らの記事はWikipediaのコピペに過ぎず、信念を持って再編できていませんでした。
大事そうなところを何となく並べただけで、自分で新しい文章を書いたりはできていません。
これはまさに上のエピソードの「生徒のダメな要約」です。
「ジャーナリズムの本質」を見失っている例であり、あまり意味のない記事だと感じました。
それで作ったのが僕の上記の記事です。僕はコピペは一切していません(というか、面白くするためにはコピペでは無理でした)。
記事の進行は登場人物のセリフをベースにして、全てを物語として楽しめるように再編しました。
あなたの記事は本当に核心を見抜いている?
今回の件で、この問いかけは大事だな、と強く感じました。
その記事は何を伝えたいのか?本質は何なのか?
この問いを常に頭に置いて、絞り込まなければなりません。
「木曜日は、学校が休みだ」の領域まで持っていくのは、かなりの修行が必要そうです。
僕も毎日文章を書く度に、この領域を目指していこうと思います。
このジャーナリズムの話のように、本質を見抜く素晴らしい例え話が豊富に出てくる「エッセンシャル思考」、ホントにオススメです。