ウィキペディアの「地方病」が面白すぎるので読みやすくまとめました

アルバトロス用ブログタイトル.002

Wikipediaの「秀逸な記事」にも選ばれている「地方病(日本住血吸虫症)」という項目が尋常ならざる面白さです。

115年に及ぶ原因不明の奇病と人類の戦いを描いた一大ストーリーです。ドラマ化しても何らおかしくない。

 

さて、面白かったのですが、

  • いかんせんWikipediaの文体なので読みにくい
  • 情報量が多すぎて、読むのに30分くらいかかる

という項目になっています。

堀元
こんなに面白いのだからこれではいかん!

ということで、「短く」かつ「面白いところだけを抜き出して」まとめてみます。

めんどくさがりなあなたはこの記事を読もう!

短くするためにやや不正確な部分があるので、お時間ある人はWikipediaも読んでね!

 

地方病とは?

Edema_abdomen_by_Schistosomiasis_Japonica

この画像の男性のように、最終的に腹が不自然に出てしまう奇病です。

初期症状…発熱、下痢

重症化…手足が痩せ細り、腹が出て、動けなくなり死亡する

日本では山梨県の甲府盆地一帯のみに見られる病気である。

 

地方病で死ぬのが、農民の宿命

農民
おい、山岡さん家の長男も地方病になったらしいぞ
農民2
本当か!?やっぱり俺たちももうすぐ地方病で死ぬのかもしれんな…
農民
地方病で腹が出たらもう終わりだからな。腹が出ないように願おうや
農民2
くわばらくわばら…
地方病は、甲府盆地で昔から知られていた。なんと、最古の文献は1582年のもの。おそらく甲府盆地の住民は1000年単位で地方病に苦しめられていたと思われます。
農民
ああ。どうして俺たちは農民に生まれてしまったんだろう。役人の家に生まれたかったな
農民2
そんなこと言ったって、生まれちまったもんはしょうがねえ。
農民
地方病は、小作人の宿命だからな…
昔から知られていたのが、「地方病で腹が出ると、絶対に死ぬ」ことと「富裕層はほとんど感染しない」ということ。

そのため、甲府盆地に生まれた小作人の宿命とまで言われていました。

 

怯えながら暮らす農民

農民
それにしても、なぜこの辺の人間だけ地方病になるんだろうな?
農民2
ああ。山を越えた先ではそんな病気を聞いたこともないっていうじゃねえか
農民
不思議なことが多いなあ…
農民の間で「なぜこの病気になるのか?」ということは理解不能でした。

 

農民
けど俺らはまだマシな方だよな
農民2
ああ。竜子の方なんて半分くらいの住民が地方病にかかっているらしいじゃねえか
農民
怖い怖い!

病気の原因が分からないのはもちろん、

  • なぜ、甲府盆地でだけこの病気が発生するのか?
  • なぜ、甲府盆地でも特定の村だけで頻発するのか?

という二点が、全く分かりませんでした。

特定の村だけで頻発することはよく知られており、甲府盆地でも一部の村(例えば竜子と呼ばれる地域)だけが劇的な感染率でした。

農民
そういえば、竹本の妹は竜子に嫁ぐらしい
農民2
ホントかよ!!じゃあ餞別に棺桶を送ったほうがいいな

当時の農民の間で伝わっていたフレーズが、

竜子へ嫁に行くなら、棺桶を背負っていけ

というのだから驚きです。嫁に行く=死にに行く、というレベルだったようです。

そんな悪評が立ってる村が無くならなかったのが不思議。

 

原因を、解き明かして欲しい

農民
もう耐えられない!病気の原因を解明して、治療できるようにしてくれ!!
偉い人
仰ることはもっともです!どうにかしましょう!!

長きに渡る農民達の苦しみを受けて、1881年(明治14年)にいよいよ行政が重い腰を上げます。

動き遅っ!!最古の文献から300年近く経ってる!

春日井村(現笛吹市)の戸長が、地方病の原因を解き明かすための嘆願書を提出しました。

地方病の原因が全く分からない。水なのか?土なのか?それとも住民の体質が問題なのか?

全く分からないのです。助けてください。

─山梨県令への嘆願書

村人達の壮絶な叫びを詰め込んだこの嘆願書を受けて、数多くの医師が、地方病の原因解明に漕ぎ出します。

医者
救ってやる!!

 

最初の一歩を切り開いた男

漕ぎだしたはいいものの、病気について何も分かってないので、皆困ります。

医者
どこから手を付ければいいか分からない!

 

この状況を打破した男が、吉岡順作です。

190px-Dr._Junsaku_Yoshioka

長きに渡る地方病との戦いの、最初の主人公はこの男。

吉岡順作は、多くの患者を診察しました。

患者
先生…治して下さい…
吉岡順作
もちろん、最善を尽くします。ここは痛みますか?
患者
うっ!痛い!!
吉岡順作
肝臓がおかしくなるらしいな…。しかし知っているどの病気とも違う症状だ…)

これ以上、患者の体を見ても何も分からなさそうでした。

 

発生場所を地図にまとめた

その後、吉岡は患者の発生する場所を地図にまとめました。このアプローチが大正解!!

吉岡順作
患者は、川沿いの村に集まっている

また、当時の甲府盆地の迷信で、こういうのもありました。

きれいだからといってホタルを捕ると、腹が太鼓のように膨れて死んでしまう

ホタルがいるのも水辺。地図上で患者が集中しているのも水辺

吉岡順作
ビンゴですやん!!

 

そんな訳で、一気に「感染は水と密接な関係がある」という事実が明らかになりました。

 

しかし、そこで限界になる

吉岡順作
水と関係があることは分かったけど…だから何だ…?

吉岡は更に色々な調査をしましたが、それ以上の発見はありませんでした。

打つ手が無くなった吉岡は、1つの結論にたどり着きます。

吉岡順作
解剖だ!!解剖をするしかない!!

ちまちま患者の体を調べるのではなく、地方病で死んだ人の体を解剖するしかないと判断します。

吉岡順作
解剖すれば、何か分かるはずだ!!

吉岡はそう確信していましたが、この時代には、もう一つの問題がありました。

 

解剖を拒む人々

吉岡順作
…ということなので、解剖させて下さい!
患者
嫌だ!!体を切られるのなんて絶対嫌!成仏できなくなる!
この時代の人は、体を切られることへの強い抵抗がありました
吉岡順作
畜生!解剖すれば何か分かるのに!!

 

吉岡はこうして歯がゆい思いをし続けることになります。この時代、解剖をするのは本当に難しかったのです。

事実、山梨県ではこれまでに一例たりとも解剖が行われたことがありませんでした。

吉岡順作
解剖が許可されるまで、今まで通り患者と向き合い続けるしかないな…

 

待ちに待った解剖許可

吉岡は、それからも地方病患者の診察をする日々を続けました。

そんなある日、もう何年も診察を続けている患者の「杉山なか」の診察に出向きました。

吉岡順作
なかさん、調子はどうですか
杉山なか
良くないですね。日に日にお腹が膨らんで、体が動かなくなっています
吉岡順作
そうですか…
杉山なか
順作先生、私はもう助かりませんよね?
吉岡順作
そんな、弱気を起こさないでください!
杉山なか
良いんです。今までに何度もこうして死んでいった人を見てきました。甲府盆地に生まれた者の宿命を、理解しています。はっきり言って下さい
吉岡順作
……今までの治療が効かないとなると、もう手のうちようがありません
杉山なか
やはり、そうですよね
吉岡順作
……
杉山なか
順作先生、私のお腹の中にある地方病は何が原因なのでしょうか
吉岡順作
分かりません。肝臓に原因があることは間違いないのですが、詳しいことは開腹して肝臓を直接確かめるしかないのです
杉山なか
……
杉山なか
先生、私が死んだら、私の体を解剖してください
吉岡順作
……良いんですか?
杉山なか
ええ。順作先生には本当に良くして頂きました。先生でしたら信頼できますから。
吉岡順作
なかさん……
この時代、解剖を申し出る例はまずない。あまりのことに、吉岡は涙が止まらなかったという。
杉山なか
その代わり、約束して下さい。地方病の謎を解き明かして、村の未来を救って下さい
吉岡順作
……命を懸けて、地方病の謎を解き明かしてみせます

 

解剖

山梨県で初めての解剖ということもあり、杉山なかの解剖には実に57名もの医師が参加した。

吉岡順作
肝臓に、白い繊維質が付いているな…普通の肝硬変では見られないものだ…
医者
なるほど…
吉岡順作
そして、門脈が異常に肥大化している。しかも門脈のあちこちに結塞部位がある!
医者
門脈の肥大化だと!!それは大発見だ!
この解剖で分かったことが、地方病の研究を大きく押し進めることになる

 

解剖後

吉岡順作
なかさん…、ありがとうございました。あなたを救うことができなくて、すみません。
吉岡は、杉山なかの葬式で長文の弔辞を読んでいる。涙ながらに感謝と、なかを救うことができない医療の貧困を詫びたという。

 

新種「日本住血吸虫」の発見

この吉岡の発見を受けて、地方病の研究を更に押し進めた二人の男がいました。

地方病についての討論会にて

三神三郎
地方病患者の便の中から新種らしい寄生虫の卵を見つけました!!これが地方病の原因です!
偉い人
それホント?杉山なかの肝臓にもそいつが居たって言い切れる?
三神三郎
それしか考えられません!
偉い人
でも証拠はないんでしょう?
三神三郎
それは……ありません。
偉い人
じゃあ違うかもね。新種じゃなくて普通に肝臓ジストマとかなんじゃない?
三神三郎
(くそっ!絶対にこの新種のせいなのに!!)

 

地方病の研究を進めた一人の男は、この男「三神三郎」です。地方病についての討論会に出た彼は、見当違いの意見に潰されて、歯痒い思いをしていました。

 

桂田富士郎
バカの相手をするのは疲れるよな!あんなもん肝臓ジストマである訳がないのに。
三神三郎
あんたは?
桂田富士郎
桂田というものだ。寄生虫の研究を専門にしている
三神三郎
そうか。あんたも地方病は新種の寄生虫のせいだって分かってくれるのか?
桂田富士郎
ああ、間違いない。俺たちで証拠を突き付けてやろう。

 

地方病の研究を一気に進めたもう一人の男が彼、桂田富士郎です。

こうして生まれた二人の共同戦線で、寄生虫が新種である証拠探しが始まりました。

 

研究の日々

桂田富士郎
多分、ビルハルツ住血吸虫に近い寄生虫だと思うんだ。卵の形が似てるから!
三神三郎
とすると多分、新種は雌雄異体だろうね。
桂田富士郎
今までやった実験を見ても、やっぱり寄生先は肝門脈が怪しいよね。
二人の観察・実験によって次々寄生虫の生態が明らかになっていきました

 

三神三郎
色々分かってきたから、やっぱり虫の本体を入手したいよね
桂田富士郎
ホンマそれ。解剖して肝門脈をしっかり調べたいなあ
三神三郎
そうだ!ウチの飼い猫が地方病っぽいから、解剖してみようか!
桂田富士郎
お前の家の猫!?確かにお腹出てたけど、良いの!?
三神三郎
全然良いよー!!
三神まじヤバい。

 

猫の解剖

後日、宣言通り三神の飼い猫の解剖が行われました。

桂田富士郎
あった!!肝門脈に寄生虫だ!!
三神三郎
やったね!!
桂田富士郎
間違いない!!この寄生虫が地方病を引き起こす犯人だ!

 

新種の認定、地方病の原因の確定

偉い人
間違いなく新種だね!!
桂田富士郎
やった!
偉い人
そしてこれが地方病の原因っぽい…?
桂田富士郎
間違いありません。新種の生体の中にあった卵と、杉山なかの病理標本の卵が完全に同じでした!
偉い人
じゃあそれも間違いないね!この新種が地方病の原因です!

こうして桂田と三神は、新種を発見して、地方病の原因が寄生虫であることを証明しました。

また、この新種は日本で発見されたことから「日本住血吸虫」と名付けられました。

 

ところが、問題は残ってる…

結局防衛策は?

地方病の原因が「寄生虫」であることは分かりました。ところが…

農民
結局どうやって防げばいいの???

そう、結局防衛策が分からないと意味が無いのです。

医者
日本住血吸虫は新種だし、普通の虫下しは効かないしなあ…

 

有効な治療法が無いため、対策は自ずと「地方病にかからないための方法」になりました。

 

防衛策「水を沸騰させてから飲む」

医者
簡単だよ!水を沸騰させてから飲めば良いんだ!そしたら寄生虫は死ぬからね!
農民
えっ!!でも……
医者
そうすれば助かるよ!沸騰させて!
農民
はあ…分かりました…

 

それからしばらくして…

農民2
ウチの兄貴が地方病になった!!
農民
言うとおりに飲み水を沸騰させてるのに、全然地方病減らないじゃないか!!!
医者
アレ…?おかしいな…?
農民
前も言いかけたんですけど、寄生虫がいるんだとしたら、肌から入ってくるんだと思いますよ。
医者
肌から?何で?
農民
田んぼから出た時、たまに肌が赤く腫れてることがあるんだ。
医者
へえ。そうなんですねえ。
農民
俺たちはその腫れを「泥かぶれ」って呼んでるんだけど、地方病になるやつは必ずこの「泥かぶれ」が出来たやつなんだ
医者
そうなんですか!?!?
甲府盆地では、田んぼや川に入った者が手足に赤い発疹が出ることがあり、地域の住民は「泥かぶれ」と呼んでいた。地方病にかかるのは皆この泥かぶれを経験したものだったという

 

医者
ということは、日本住血吸虫は皮膚から入ってくるのかなあ?
医者2
そんな訳ないだろ!蚊が刺してないのに皮膚から寄生虫が入ってくることはないよ!
マラリア等の蚊が媒介する寄生虫以外は、経口感染するというのが当時の常識でした。
医者
でもなあ……もうそれしか考えられないからなあ…

 

動物実験で、決着をつける

口から入ってくるのか?皮膚から入ってくるのか?

議論が尽きないので、実験ではっきりさせることになりました。

医者
ウシを17頭用意したよ!こいつで実験しよう!
経口感染
予防
経口感染
予防せず
経皮感染
予防
グループ 2頭
ウシ小屋に隔離して小屋の外には出さない。飲食物は全て煮沸したものを与える。
グループ 7頭
ウシの全身を防水グッズで覆い、水と接触しないようにして、有病地の水田や小川への出入りを意図的に繰り返す。そこで自由に草を食べさせたり、水を飲ませたりする。
経皮感染
予防せず
グループ 6頭
特製の口袋でウシの口を覆い、飲食できないようにして、有病地の小川や水田への出入りを意図的に繰り返す。飲食物は全て煮沸したものを与える。
グループ 2頭
口にも全身にも、何も施さない。有病地での飲食も行動も完全に自由。

 

医者
普通に考えたら、口から感染するはずだから、乙グループと丁グループが感染するだろ!
ところが結果は全くの逆。甲グループと丁グループが感染しました
医者
マジかよ!!これはもう経皮感染としか考えられないわ!

このことから、日本住血吸虫は皮膚から感染するのだということが明らかになりました。

 

余談:松浦医師の実験

京都帝国大学の松浦医師は、皮膚科としての自分の見識から

松浦
経皮感染なんてあるわけないじゃん!寄生虫は口からなの!!

と確信しており、自分の身を持って感染しないことを証明しようとしました。

松浦
ヤバいと評判の田んぼを、生足で歩いちゃうもんね!!

 

松浦
ふう。3時間歩いた。もう良いだろ。
松浦
あっ!!泥かぶれできてる!!
案の定、この直後に松浦は体調を崩し、地方病に感染していることが判明した
医学史を読んでると、しょっちゅうこういう面白い奴出てくるので楽しい。コレラの時もこういう奴いたよね

 

 

防衛策は「水に入らない」

ということで、感染経路は皮膚からであることが判明したので…

医者
水に入らなければ感染しなくなるよ!!
農民
そんなこと言われても俺たちは田んぼに入らないといけないんだよ!!
医者
だよねえ…
当時は職業選択の自由など無い。農民は田んぼに入り続けるしかないのだ

 

医者
う〜ん、何か打開策は無いのかな?
医者2
寄生虫の生態を観測してれば何か分かるかも!まずは、卵が生まれてから人に感染するまでの流れを見よう!
医者
それだ!!

 

日本住血吸虫が生まれてから、人に感染するまで

医者
ということで、ここに生まれたばかりの日本住血吸虫がいます。
医者2
ふむふむ。
医者
この水槽に、猫を入れます。感染するかなあ?
医者2
猫可哀想。
どうでも良いけどこの話で猫はロクな目にあってない

 

医者
う〜ん、何回繰り返しても猫に感染しないなあ
医者2
しないね。
医者
それどころか、日本住血吸虫はどんどん死んでいくぞ。
医者2
どんな条件でも生まれて48時間以内に死んでしまうみたいだね

 

医者
このことから引き出される結論は1つだな
医者2
つまり…?
医者
生まれたばかりの日本住血吸虫は哺乳類に感染できない!大人になってから哺乳類の体に寄生する!
医者2
大人になるまではどうしてるの?
医者
別の生き物(中間宿主)の中に寄生してるんだろうね
医者2
別の生き物って?
医者
それは分からない!!

 

中間宿主を特定せよ!

医者
ということで、中間宿主を知りたいね
医者2
なぜ?
医者
だって、中間宿主を上手く殺せれば、日本住血吸虫はいなくなるよ。大人になるまで生きていられないから
医者2
なるほど!

 

そんな訳で地方病対策は「中間宿主の特定」が主要なアプローチに変わりました。

 

吉岡順作
俺、カワニナ(巻き貝)が中間宿主だと思う。その路線で実験しようぜ!
医者
俺もそう思う!実験しよう!!

こうして、吉岡らによる実験はカワニナを用いて行われたが、なかなか上手くいかなかった。

 

実験を初めて成功させたのは、九州帝国大学の宮入慶之助であった。

宮入
宮入
発見したよ!一ヶ月の内に、生まれたての日本住血吸虫がこの貝に入って、大きくなるところまで観測した!
医者
マジかよ!!やるな!!
無事実験を成功させた宮入だったが、問題が1つ残っていた
医者
で、この貝は何?
宮入
それがよく分からないんだよね。カワニナに似てるんだけど、亜種かな?
医者
分からないんだね
宮入
分からない。ちょっと鑑定出してみるね

 

貝の同定を依頼された九州帝国大学は、「新種である」という結論を出した。寄生虫に続き、この貝も新種の貝であった。
この貝は宮入博士の功績をたたえて、「ミヤイリガイ」と呼ばれることが多くなった

 

 

ミヤイリガイを殺せ!

医者
ミヤイリガイを絶滅させれば、地方病はなくなるってことだね?
医者2
見えたな!!

 

ここに来て初めて、地方病撲滅の可能性が見えました。しかし、ことはそんなに簡単ではありません。

ミヤイリガイは繁殖力が極めて強く、1平方メートルに100匹はいたそうです。多すぎ!

新聞

 

当時の新聞。恐怖が伝わってくる。

 

ミヤイリガイを殺すために様々な努力が行われました。

農民
うおお!ミヤイリガイを田んぼから全部出せ!!
偉い人
頑張ってるね!!ミヤイリガイを捕まえてきたら1合あたり50銭あげるよ!!
こんな調子で、8年間に96俵ものミヤイリガイが捕まえられた

 

農民
でもミヤイリガイ全然減らない!!

ミヤイリガイの繁殖力の前では、まさに焼け石に水でした。

この後ミヤイリガイとの戦いは、70年以上にも渡って繰り広げられることになります。

 

行政による対策

本格的にミヤイリガイ殺しに乗り出した山梨県は、大きく分けて二つの施策でした。

  1. 生石灰やPCPなどの殺貝剤の散布
  2. 用水路のコンクリート化

1 については、800トンもの殺貝剤が撒かれています。

圧巻なのは2です。1956年から用水路のコンクリート化事業が開始され、なんと1985年までに100億円以上の資金を投じた超巨大事業になりました。

この事業によってコンクリート化された用水路の長さは、2109キロメートルです。

この距離は、函館から那覇に相当するというのだから驚きである

 

この尋常ではないミヤイリガイ撲滅政策の甲斐あって、ミヤイリガイの数は少しずつ減っていきました。

それに伴って、地方病の感染者も減っていきました。

 

115年目の終息宣言

農民
最近、地方病になる奴いないよね?
偉い人
なんと、感染者は5年連続出ていません
農民
スゲえ!もう安心だ!!

1978年に一人の感染者を出して以来、5年連続で感染者は0人となりました。

ミヤイリガイは絶滅こそしていないものの数を減らし、日本住血吸虫に感染している個体も一切見つからなくなりました。

こうして、「地方病は終息し安全である」と言える状態になり、平成8年に終息宣言が出されました。

宣言

先般、山梨県地方病撲滅対策促進委員会から「本県における地方病は、現時点では既に流行は終息しており安全と考えられる。」との答申をいただいたことを受け、

ここに本県における地方病(日本住血吸虫病)の流行が終息したことを宣言いたします

— 平成八年二月十九日 山梨県知事 天野 建

1881年に嘆願書が提出されてから、実に115年後の終息宣言でした。

 

地方病の現在

再発への備え

こうして終了した地方病騒動でしたが、ミヤイリガイは絶滅していません

したがって、確率は低いとはいえ、再流行の可能性があります。

そのため、山梨県では現在も小中高生を対象にした地方病の検査が行われています。

 

また、国内の研究所や大学が、今でも日本住血吸虫の飼育を続けています。万一の再流行に備えてです。

 

最後に残った謎

こうして多くの研究者によって地方病のメカニズムが解明されましたが、「ミヤイリガイがなぜ甲府盆地などの一部の地域にしか生息していないのか」という謎が残っています。

多くの研究者が調査しましたが、真相は現在も謎のままです……

 

 

 

まとめ

以上、面白すぎるウィキペディア「地方病」の内容を読みやすくまとめてみました。

かなり省略したので、やや不正確な部分があります。

この記事を読んでしっかり読みたくなった方は、地方病(日本住血吸虫症)をご覧ください。

ちなみに、面白かったけど本筋に関係ないので端折った部分もあります。

  • 日本住血吸虫が川に入らないようにウシにおむつを履かせるくだり
  • ミヤイリガイを殺すために火炎放射するくだり

この辺も面白いので、是非元のウィキペディアを読んでね!

 

 

世界を面白くしよう!

 

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